腹 減っ た なぁ。 腹が減ったなら飯を喰らえ

関西の方に質問です。「腹減った~メシくわせぇ~コドモを飢...

腹 減っ た なぁ

「あ~、腹減ったなぁ。 」 物騒極まりない賊学カメレオンズの部室に、これまた能天気極まりない声が響いた 「・・・銀テメ、今何やってっかわかってんのか?」 「作戦会議~。 」 「と言う名の、作戦覚えねぇ銀の説教。 」 「ルイが正解。 」 「ツン、ひどい~。 」 デカい男三人に囲まれてますます小さく見える机の上には、所狭しとデータやスコアブックが広げられている。 春大会は見事(?)失格敗退となったカメレオンズだが、秋はそうも言ってられないので幹部で秋大会に向けての計画を立てていた。 ・・・筈なのだが。 「こんなの、覚えらんねぇよ~。 」 「カッ、ふざけんな!!お前クォーターバックだろうが!」 「守備はルイだけど、攻撃はお前が要なんだぞ。 」 黒髪二人に詰め寄られ、銀髪が机の上に突っ伏する。 「だーって、練習終わってからずっとやってんじゃんよ~。 もうオレ耐えらんねぇ、餓死するぅ。 」 「「するか、バカ。 」」 「あ~、ハモリはヘコむなぁ。 」 言葉とは裏腹に笑ったままの顔を見て、ツンとルイは溜息をついた。 「まだ六月だしぃ、これから覚えるからぁ。 」 「カッ!テメェが作戦わかってなきゃ、夏合宿がムダに終わんだよ!」 「なになに、それってオレ超大事ってこと?やっぱ銀さんがいないと始まんない?」 「カッッ!!テメェ、一遍死ぬか!?」 「・・・ルイ、バカは殺しても治せねぇぞ。 」 額に青筋を浮かべる二人をよそに、銀は夕食の思案を始めている。 「な~、二人は何食べたい?」 「おい、誰がメシ食いに行くっつったよ?」 「ええっとぉ、んじゃ、ジャンケン勝った奴の食いたいものにしようぜ。 」 「カッ!人の話を聞きやがれ!」 「・・・諦めろ、コイツはこういう奴だ。 」 「じゃ行くぞー、ジャーンケーン、ポン!」 「うっわ、うまそう!なぁ、どれにする?」 30分後、ミスタードーナツのショーケースの前に、ものすごく嬉しそうな銀とものすごく嫌そうなルイとツンがいた。 「フレンチクルーラーと、ポンデリングの黒糖と、チョコファッションね。 あ、エンゼルクリームも・・・。 」 「俺、コーヒーしかいらねぇ。 」 「・・・俺もコーヒーだけで。 」 コーヒーを片手にルイとツンはできるだけ奥のテーブルに腰掛けた。 銀はコーラかオレンジジュースかでまだ迷っている。 大きな窓を見やればとっぷりと暮れた町並みよりも、ポップな配色の店内に陣取る不機嫌な不良二人を映し出した。 はっきり言って、ものごっつい違和感だ。 「おまたせ~。 」 「お前、それ夕飯か!?」 「そだけど?」 銀のトレイには五個のドーナツとスムージーが乗っていた。 ツンは見てるだけで胸焼けがするのか、喉元を押さえて微妙に目を逸らしている。 「だから、こういう時はロングパスだろ?」 「でもウチのラインから考えると・・・。 」 「メシん時くらい、頭使わせんなよ~。 」 銀が甘い息を吐きながら抗議したとき、葉柱の携帯が鳴り響いた。 曲は、世界一有名なSF映画に出てくる、あの黒尽くめの悪役のテーマ。 しかしその足しか見えていないだろうタイミングで葉柱は電話を取る。 「もしも・・・あぁ!?待て、今ガッコじゃねぇ!!・・・っざけんな外道!!・・・あーわかったわかった、行きゃいいんだろ!」 額に青筋浮かべながら携帯を切ると、葉柱は立ち上がった。 「・・・行ってくら。 」 「「ゴクローサン。 」」 「銀、明日までにパスルート全部完璧にしとけよ。 」 「えー!!無理、ぜってぇ無理!!」 「カッ!!外道の迎えに行くよりマシだろが!!」 「・・・オレ代わりに迎えに行ったら、覚えなくてもいい?」 「カッ、ンなわけあるか!!じゃあな。 」 白い長身が出て行くと、銀は大きな溜息をつきながらテーブルに頬杖をつく。 その前にツンがパスルートの書いてある紙を広げた。 「だっから、メシ時まで頭使いたくねーんだって・・・。 」 「ルイいないからってサボるわけにいかないだろ。 」 明日殴られんぞ、との怖い忠告にも銀髪はそよとも動かない。 「あーあ、アイツだけずるいよなぁ。 」 「・・・ルイのことか?つか、あの外道に使われてんだから、むしろ拷問だろ。 」 「そうじゃねぇよ・・・あの外道がよ。 」 「?」 怪訝そうな顔をしたツンから目を逸らして銀は続けた。 「だってずるくねえ?今だってルイ、あの悪魔ンとこじゃん。 あり得ねぇよ。 」 オレらのルイなのに、と銀は唇をとがらせる。 「自分らのヘッド、毎日呼び出されてよ。 いいように使われてよ。 マジ我慢できねぇ。 」 「しゃーねぇだろ。 負けたオレらが悪い。 」 「そりゃそーだけどよー。 なんつーかさー・・・・・やっぱ、ずるくねぇ?あんなルイばっかし呼ぶなんてよ。 」 「・・・そりゃまあルイは賊学の頭だからな。 連れ回して、言うこと聞かせて、それを見せびらかしてんだろ。 あの外道のやりそうなこった。 」 「だってよ、今日メシ一緒したのだってすっげぇ久しぶりだぜ!?毎日オムカエしてっから、バイクも一緒に流せねぇし、それどころか部活終わってすぐ呼び出しだからろくろく話せねぇし!この間オレがルイの携帯見たときも、すっげぇの!ルイの着信履歴、ものの見事に悪魔ばっかなの!オレの履歴とかキレイさっぱり消えてんの!どう思うよ、コレ!?」 「・・・どうって。 」 「ルイもルイだよ!何でアイツ、言いなりになってんの!?『10分』って言われたら無理でも10分で行っちまうし、『タクシー1台』っつったら当然のように自分が行っちまうし!」 「・・・銀、お前蛭魔に怒ってんの?ルイに怒ってんの?」 「両方!!」 言い切る銀にツンが吹き出す。 「何笑ってんだよ!」 「・・・いや、悪ぃ。 まあほら、ルイの奴、根が硬派だから。 」 「ンなのわかってるよ!」 「手ぇ抜くとか、サボるとか。 そういうのできねぇんだよ、ルイは。 知ってんだろ?」 しぶしぶといった感じで頷く銀に、ツンが諭すように続ける。 「真面目なんだよ、ルイは。 」 「・・・・・真面目な不良って、おかしくね?」 「でもそこが良いんだろ?」 「・・・。 」 「そんなルイだから、良いんだろ?」 「・・・っあーもうっっ!!だから余計に腹立つんじゃねぇかっ!」 「ったく、ガキかテメェは。 」 ツンのでかい手がワシャワシャと銀髪を乱して、その間だけ銀の顔が怒りでなく、くすぐったさで歪む。 ツンはそのまま手を銀の頭に置き、銀もそのまま顔をあげようとしない。 「・・・負けたコッチが悪いんだ。 我慢しろ。 」 「できねぇよ。 」 「それでも我慢しろ。 」 「できねぇ。 」 「ルイがけじめつけてんだ。 その間はさみしかろうがなんだろうが、我慢しろ。 」 「・・・・・。 」 「わかったか?」 「・・・・・・・わかった。 」 「よし。 」 「・・・けどやっぱムカつく!!」 「ガキ。 」 銀が鼻息を荒くし、ツンは苦笑しながら冷めたコーヒーを飲み干した。 「っあー、食った食った。 」 うーん、と満足そうに伸びをする銀の隣で、ツンが深呼吸する。 ずっと甘い匂いを嗅いでいたせいか、吐く息まで甘いような気がした。 「・・・とりあえず、ウチでパスルートのおさらいすんぞ。 明日マジでルイにぶっ飛ばされっかんな。 」 「うーい。 」 あまりやる気のない返事に溜息を返し、自分たちのバイクに戻ってくれば、二つのバイクの間に随分広く開いているスペース。 その改造ゼファー1台分の空白を見て、銀がぼそりと呟いた。 「・・・ルイ、帰ってくるよな。 」 「大丈夫だ。 」 銀と目が合うと、ツンがニヤリと笑った。 「『バカな子ほどかわいい』っていうだろう?」 「それオレ、かわいいってこと!?それともバカってコト!?」 「・・・さあな。 」 くっくっと笑いながらバイクにまたがるツンに、銀が食い下がる。 「なあ、どっち!?ってかオレ、ルイの子供じゃねぇし!!」 「ほれ、帰んぞ。 」 バカのほうは嫌だなぁ、と尚もぶちぶち呟く銀に苦笑しながらツンは愛車のアクセルをフカす。 「・・・腹、減ったなぁ。 」 そう言えば自分はコーヒーしか飲んでいない。 「・・・コンビニ寄って、弁当でも買うか。 」 「はいはい!オレ、牛カルビ丼ね。 」 「・・・・・まだ食うのか。 」 やっぱ、コイツバカな子だ。 っつかヒナだ・・・誰のか知らねぇけど。 軽い眩暈を覚えながら、ツンは最寄のコンビニの位置を頭の中で確認する。 「カルビ丼!カルビ丼!」 「・・・わかったから、連呼するな。 」 ドルン、とバイクを発進させれば、暗いバックミラーに銀髪がうかんで、やっぱりなんだか鳥のヒナみたいだった。 不意に昔テレビで見たカルガモの親子を思い出す。 あの母鳥もヒナより後から、餌を食べていた。 「・・・つか、鳥じゃねぇし、親じゃねぇし。 」 「えー!ナニー!?」 「何でもねぇ!!」 吹き付ける風と爆音の中、カルビ丼が置いてありますように、と祈りながらツンはコンビニへとバイクを急がせた。 ・・・あー、腹、減ったなぁ。 【終】.

次の

腹減ったなぁ vs 三流学苑 2020年06月05日試合結果

腹 減っ た なぁ

悪魔騒動が起きてから、1週間が経った。 学校では相変わらず講義をしていたが、そろそろ休みを利用して、帝国へ行きたいと思っていた。 ゲートを開通させる為、1度空を飛んで、帝国まで行ってみた。 自分の体を結界で包み、時速300Km程度で飛んでみたら、5時間半位で着いた。 これは疲れる、魔力がゴリゴリ削れて行く感じなんだよな。 それも、速度を上げれば上げる程。 そう思うと飛竜って便利なんだなぁ。 航空力学を使って飛行機を作ろうとすれば、当然滑走路が必要だし、離陸する時の速度は、やはり時速300Km程度必要で、浮いてからも速度を維持する必要がある。 セスナの様なプロペラ機は、そんなに必要ないんだろうが、精々4人位しか乗れないだろう。 滑走路が必要ない、ヘリコプターはどうだろう。 飛行機よりも、もっと技術と計算が必要だろう、煩いしね。 やはり、ここは魔法のあるファンタジー世界。 空を飛ぶ船は必要だろう。 出来れば理想的なんだけどなぁ、滑走路がいらなくて、海にも着水出来る。 動力が魔力だから煩くないしね! 挑戦してみるか、戦争の種になりそうでウザいけど自分達が使うだけで、売り出さなければ大丈夫だろう……。 大丈夫だよね。 まあ、広範囲殲滅魔法があるのだ、今更だよね。 帝国の帝都付近に降り立ち、街中に入ってみたが、適当な場所がなかった。 仕方がないので、冒険者ギルドに立ち寄って、個室を確保して措いた。 家を買ってしまった方が早いのか……。 だが、それなりの人数分、いや、ゲート開くだけだから、狭くて良いのか、失敗した。 計画性の無さがこう言うところで、仕事を増やすんだな。 やはり、ギルドに突然現れるより、家を買ってしまう方が良いだろう。 買い物拠点にして、王都で売り捌くのも有りだろうしね。 そんな訳で、再び冒険者ギルドに戻り、冒険者に斡旋している家はないか、尋ねてみたら、意外と沢山あった。 何が有るか分からないから、風呂は必要として、何が有るか分からないからね。 なんて考えてたんだけど、管理する奴がいないんだから、小屋程度で良いんだ。 大きな屋敷が欲しくなれば、皇帝の治療の報酬に、分捕れば良いんだしな。 そして、工房付きで2部屋ある家があったので、そこを購入した。 即金で良いと、ギルドのお姉さんにギルドカードを渡して、引き出してもらったら、Sランクのカードにも驚いていたけど、預金額を見て目を剥いていた。 「あのぅ、Sランクの方にはギルド内にお部屋をご用意出来ますけど?」 「いいの、いいの、悪の秘密結社を作るだけだから。 あんな事やこんな事、あーんな事までしちゃうからな、ギルドの内部では困るだろ。 」 「全然わかりませんが、タチバナ様が、それでよろしいのでしたら。 では、これで手続きは終了です。 こちらが鍵と簡単な地図です。 お持ちください。 」 「はい、ありがとう。 」 冗談の通じない堅物の受付嬢だったなぁ、美人ではあったけど。 やっぱり、俺にはセリアが1番合うな。 あ、受付嬢の中ではって言う話だぞ? 誰に言い訳をしているのか分からないが、地図を見ながら歩いて行くと、結構遠かった。 が、その分、帝城?皇居?まあ、城が近くなった。 鍵を開けて、中に入ると意外に広かった。 何故、工房付きにしたのかって?それは、色々作りたいじゃないか、良い匂いの石鹸とか、ローションとか、精力剤とか媚薬とか? ま、それは冗談としても、ちょっと試してみたい事があって、魔道具作成工房にしようと思ったのだ。 精力剤や媚薬なんて物は、薬研と擂鉢があれば出来るしね。 そもそも、あんな物は下手くそが使えば良いのだ。 それに、必要だと思えば、桜が作ると思う。 そっち方面のくノ一の知識と技術があれば、大人のおもちゃ屋さんが開けるだろう。 一通り、家の中を見て回り、中から鍵を掛け、ゲートを開いて、セレスティーナの部屋に直接移動した。 移動してすぐ、セレスティーナの手を取り、ソファに座って膝の上で横抱きにして、両手を回してホールド。 「マサキ様?これは少し恥ずかしいのです、嬉しいですが。 」 「駄目だ、お前はちょっと目を離すと、何をされて帰って来るかわからん。 心配で仕事にならん。 拘束しておくのが1番簡単だ。 」 「あれこれ、有り過ぎましたからね……。 信用はないですよね。 」 「信用の問題じゃない。 俺が心配なだけだ。 うーむ、魔道具でガードするか。 よし、魔道具をいっぱい作って、ジャラジャラ成金ババアみたいにしてしまおう。 」 「そんなの嫌です~、可愛くして下さい。 」 「大丈夫だ。 俺のセレスは、何を着けても美人だからな!悪趣味な成金ババアになったとしても愛してやろうじゃないか!」 「イヤですー!!」 「ふっ…、お前に拒否権はない!」 「いやぁぁぁぁぁ。 」 何て言う、バカップル会話をメイドさん達が微笑ましく見ていた。 心配で仕方ないマサキは、ポンコツになりつつある様だ。 「腹減ったな、飯行こうぜ。 」 「はい。 」 と言って、そのまま立ち上がり、お姫様抱っこのまま、食堂へ向かおうとしたら、セレスティーナに恥ずかしいから、降ろしてくれと懇願されたので、降ろしてやり、代わりに、ソルティアーナを拉致して、お姫様抱っこして食堂に向かった。 「マサキ様?どうして、ソルティアーナを抱っこしているんですか?」 「お前が嫌だと言うからだ。 」 「ソルティアーナは関係ないですよね?」 「馬鹿だな、お前達王女は、直ぐ悪戯されて帰ってくるだろ?それに両方婚約者なんだから関係あるだろ。 ソルティアーナは文句言わねーし。 」 ソルティアーナは、文句を言わないのではなく、真っ赤な顔して、恥ずかしくて声が出せなかっただけなのだが。 「これから、セレスは足で転がしてやろう。 」 「嫌ですぅぅぅ!!」 「ソルティアーナって長いよね。 ルティでいいか?」 ソルティアーナは嬉しそうな顔で、お姫様抱っこされたまま、首に抱き着いた。 「はい。 その方が良いです。 」 「そうか。 うんうん、愛い奴め。 」 セレスティーナは、不貞腐れて言う。 「狡いです!ソルティアーナばっかり狡いです。 」 「何言ってんだ。 お前が嫌だと言ったんだろうが。 ルティの方が可愛いんだから、仕方ないだろう?」 「私は、捨てられたのですね……。 」 「うん。 」 「いや、そこは嘘でも『そんな事ある訳ないだろ。 愛してるよ。 』とか言って下さいよ。 悲しくなっちゃうじゃないですか。 」 「愛してるよ、嘘だけど。 こうですか?」 「もう!知りません!」 「怒ったセレスも可愛いなぁ。 」 セレスティーナは、両頬を押えて、赤くなった。 「そ、そうですか。 」 マサキとソルティアーナは顔を見合わせて、笑った。 「チョロいよね?」 「チョロ過ぎますね。 」 食堂に到着し、ふっと思った。 「なぁ、抱っこしてると食べにくいのな。 」 「私が食べさせてあげますよ?」 とソルティアーナが言った。 「駄目だ。 違う食べるに聞こえる。 理性が吹っ飛ぶ前にやめておこう。 」 とソルティアーナを降ろした。 3人で食事をしていたら、シャルロットも食堂へ来た様だ。 4人でテーブルを囲んで食事をしながら考えた。 「俺って、何しに王城来たんだっけ?」 「さあ、突然ゲートから現れましたからね、どこから飛んできたんですか?」 「あーそうだ。 帝都に家を買って、そこから飛んで来たんだった。 シャルロット、今からデートにいくぞ。 帝都にな。 」 シャルロットは、何故か嬉しそうだ。 「デートなんですね?デートなんですよね?間違いないですね?」 「あ、いやー皇帝んところ行こうと思っただけなんだけど……。 城入れないし。 」 「遊びだったのね?グスッ……信じてたのに……。 」 あれ?なんか周りの視線が痛いわ。 「まだ、遊んでないよね?」 「私を、おもちゃにした癖に。 」 「いや、してないよね?」 「私を弄る玩具にしたじゃないですか!」 「お前さ、態と誤解を招く様な言い方してるよな!」 シャルロットは、笑いを堪えながら、幸薄い女を演じていた。 「幼気な乙女を弄んで、誤解はないですよね?」 「弄んでないよね?セレス、タスケテ。 」 セレスティーナは、顎に指をあてて、少し考えた。 「シャルロットさんは、マサキ様が好きなのですか?」 「そんなの当たり前なのではなくて?同じ講義を受けているのですから。 あの教室で、マサキ様に心を奪われていない女は、いませんよ?」 「そうでしたね。 全員落ちちゃってますね。 マサキ様、シャルロットさんも、もらってしまいましょうよ。 」 「何言ってんだ、このポンコツ王女。 じゃ、エルスローム王家からは、1人いればいいから、セレス返品な。 これでバランスが取れそうだ。 」 「どうして、すぐそうやって虐めるんですか?」 「だってさ、ルティは色々見ちゃってるし、セレスティーナ姫は、ケツすら触った事ないから、問題なかろ?第二王女様。 」 「じゃぁ、脱ぎます!」 と言って、セレスティーナは立ち上がった。 「待て待て、俺が悪かった!!そう言う訳だから、シャルロットすまんな。 」 シャルロットは、だから何?って顔だ。 「じゃぁ、戦争ですね。 同盟を結びたいと言いながら、嫁枠も譲って頂けないのですから、これはもう同盟どころの話ではありませんね。 」 「いやいや、おかしいよね?王家と俺は関係ないし。 」 「いいえ、これはもう、セレスティーナさんに譲って頂くか、マサキ様に増やして頂くしかないのですよ?」 「だってさ~、住むとこないんだよ?」 「城を建ててしまいましょう、その位のお金なら、王家と皇家が出すでしょう。 」 「いやな、金がない訳じゃないんだよ。 希望する様な土地が、見付からないだけなんだよ。 シャルロットもさ、こんな根無し草なんかやめておけ。 物好きなんだよ、こいつらはな。 」 と言って、マサキは、セレスティーナとソルティアーナを見た。 シャルロットは、堪えてもいない。 「どんな土地が良いのです?」 「取り敢えず、エルスローム王国内で、海と川か湖が近くて、温泉が湧く土地。 魔物はいくら居ても、構わんのだけどな。 殲滅すれば良いのだから。 まあ、気楽に探してみるさ。 」 「何か目的があるのですね?」 「そりゃそうさ、言わないけどな。 」 「私達の卒業までに、住む所くらいどうとでもなるでしょう?私は、そんなに魅力がありませんか?」 「魅力は、あるだろ?と言うか、寧ろ涎が出そうな程の魅力的な女性だと思うぜ?まあ、今はそんな事言ってたって仕方ないだろう。 取り敢えず、皇帝んところ行くぞ。 今は、やるべき事をやり、成すべき事を成す。 話はそれからだ。 」 ソルティアーナが呟いた。 「恰好いい……。 やるべき事やり、成すべき事を成す……ですか。 」 ソルティアーナは意味深な笑みを浮かべて、何かを考えていた。 シャルロットは、仕方ないなという顔で言った。 「仕方ないですね、お父様にお願いしてみます。 色々と。 」 セレスティーナは、ソルティアーナが何を考えているのか。 が、少し心配だった。 マサキは、シャルロットを伴って、ゲートを開き帝都の家に移動した。 玄関を出て、城に向かって通りを歩きながら、マサキが口を開いた。 「シャル。 」 「まあ。 シャルと呼んで下さるのですか?」 「シャル。 お前は、俺なんかで良いのか?周りに流されていたりしないのか?」 シャルロットは立ち止まった。 マサキの何時になく真剣な表情に、しっかり考えを纏めて、真剣に返事をしようと思ったからだ。 「マサキ様。 最初はお父様に言われて決めた留学でしたし、出来ればマサキ様と 誼 ( よしみ )を通じて来いと言われて、王国へと旅立ったのは、事実です。 ですが、マサキ様の講義を拝聴し、刺客への鮮やかな対応。 的確な先手を打つ等、この人はどこまで先を見通しているんだろうと、思いました。 マサキ様が、無類のエッチ好きな性格であるのも、承知しておりますけれど、妬まれる事もなく、王国内でも大事にされているのが分かっています。 マサキ様を女誑しと見る向きもある様ですが、私はこう思います。 無類の人誑しであると。 だから国王様からも信頼されています。 そんなマサキ様に私は、皇女としてではなく、1人の女として、恋をしています。 心からお慕い申し上げます。 」 マサキは、真剣に答えを出したシャルロットに向き直ると、こう言った。 「俺に出来る事と言えば、死ぬまでシャルを愛しぬく事、くらいしかないのだが、それでも良いか?何も持っては、いないのでな。 」 「充分です。 好きな殿方のお嫁さんになる事が夢でした。 皇女には適わぬ夢でした。 何も要りません。 ただ、貴方が居ればそれで良いです。 私の全てを捧げます。 貰って下さい。 」 「分かった。 必ず幸せにしてやるとは、烏滸がましくて言えないが、俺の生ある限り、シャルを愛しぬくと誓おう。 」 「はい。 嬉しいです。 」 シャルロットは大粒の涙を流していた。 その顔もまた、美しいとマサキは思うのだった。 シャルロットの涙が治まるまで、待っていたマサキは、3歩シャルロットに近付くと、左肘を出した。 シャルロットは嬉しそうに、右手で掴まり身を寄せた。 マサキは、左肘に感じる、シャルロットの胸の感触を楽しみながら、城に向かうのだった。 シャルロットが感動しているのに、下心満載のマサキは、やはりロクデナシなのだろう。 城の表門で、シャルロットが話を付け城内に入れてもらった。 取り敢えず、皇帝の寝所へ向かう事にした。 城は、エルスの城よりは若干小さいものの、勇壮で中も豪華な装飾品で飾られており、正に「ザ・皇帝」と言う感じがした。 どういう感じかサッパリわからないが、煌びやかな城内であった。 シャルロットに腕を引かれるまま着いて行った。 途中、執事風の男に何某か指示をしていたが、興味がなかったので、聞いていなかった。 皇帝の寝所に辿り着くと、ノックをして「シャルロットです。 」と言いながら、扉を開けて入って行った。 ここまで、マサキはされるがままになっていた。 皇帝の寝所に入ると、皇妃と思われる女性が3人とメイドが3人いて、執事が1人付き添っていると言う具合だった。 そして、ベッドの脇には皇子と思われる人物が1人いた。 「お兄様。 ただいま戻りました。 」 皇子は、優しい笑みを浮かべて、 「シャルロット、お帰り。 元気にやっているかい?」 と聞いていた。 「はい。 ご紹介しますね。 Sランク冒険者主席で、私の恩師でもあります、マサキ・タチバナ様です。 」 紹介された、マサキは胸に手を当て紳士の礼をした。 それを見た、シャルロットは驚愕の表情を浮かべていた。 が、何も言わなかった。 「私は、ガイザス帝国第一皇子ルキウス・ガイザスと申します。 お初にお目に掛かります。 タチバナ殿。 ルキウスとお呼び下さい。 」 「俺は、マサキ・タチバナだ。 マサキで良い。 今日は、皇帝陛下の容態の確認と、シャルロットをもらい受けに来た。 」 シャルロットが、目を大きく見開いて、顔を赤くしていた。 「そうですか、それは有難い。 皇帝の顔も見て下さい。 」 マサキはベッドに向かうと、皇帝の顔を見た。 今は、寝ている様だ。 妙に唇の色が赤い気がする。 マサキは布団を捲って、手の爪を見た。 白い斑点だったり線だったりが爪に出ていた。 手を元に戻し、布団を戻してやった。 「皇帝は、食事は摂れているか?」 皇子は首を振りながら答えた。 「最近は、流動食も喉を通らない様です。 水分だけ補給している様な状態ですね。 」 「薬は飲ませているか?」 「はい。 水分に混ぜてですけどね。 」 マサキはうでを組んで考え込んだ。 (良く生きている。 恐らくヒ素中毒だろうが、人口呼吸器もなく、ただ漢方の様な薬しかない世界で、これは、凄い生命力としか言えないだろう。 やはり、魔法の知識を広める必要があるな。 怪我であれば【 治癒 ( ヒール )】が使える術者は多いが、無属性になると急に人数が減ってしまう。 ) マサキは、体内で魔力を練りながら、皇帝に掛かっている布団を全体的に剥がすと、左手を翳した。 魔力を薄く体の中にぶつけながら、どこにヒ素が溜まっているかを調べていった。 胃腸と腎臓と肝臓が駄目な様だ。 「多臓器の不全か……、いけるか?まあ、これじゃ、もって1週間だろう。 やってみるか。 」 と、マサキは呟いた。 皇子は何をするのか不安だったが、シャルロットが胸の前で両手を握り締めているのを見て、大丈夫なんだとマサキに向き直った。 マサキは、頭から大腿部までをゆっくりと【 浄化 ( ピュリフィケーション )】を掛けていった。 それが終わると急いで、体全体に【 回復 ( リカバリー )】と【 治療 ( トリート )】を掛け、最後に1番大事な【 復元 ( レストレーション )】を掛けた。 この間、何度も皇帝が光るのを見ていたシャルロットは、尊敬の眼差しをマサキに向けていた。 再び、マサキは皇帝の内臓に、魔力を軽くぶつけて触診していた。 良さそうだがなぁ、弱っていたからなぁと考えていたが、胃腸が急に活性化しだした。 唇の色も戻った様だし、大丈夫だな。 と、一安心した。 「誰か、食事の準備を。 多分、腹減った~って起きると思うぜ?」 とマサキは皇子に伝えると、部屋から出て行こうとした。 扉に向かうマサキの背中に「腹減った!!!」と豪快な言葉が聞こえて、ニヤっと笑みを浮かべたマサキは、満足そうに、扉に手を掛けたのだった。

次の

ぐらさい日記

腹 減っ た なぁ

「あ~、腹減ったなぁ。 」 物騒極まりない賊学カメレオンズの部室に、これまた能天気極まりない声が響いた 「・・・銀テメ、今何やってっかわかってんのか?」 「作戦会議~。 」 「と言う名の、作戦覚えねぇ銀の説教。 」 「ルイが正解。 」 「ツン、ひどい~。 」 デカい男三人に囲まれてますます小さく見える机の上には、所狭しとデータやスコアブックが広げられている。 春大会は見事(?)失格敗退となったカメレオンズだが、秋はそうも言ってられないので幹部で秋大会に向けての計画を立てていた。 ・・・筈なのだが。 「こんなの、覚えらんねぇよ~。 」 「カッ、ふざけんな!!お前クォーターバックだろうが!」 「守備はルイだけど、攻撃はお前が要なんだぞ。 」 黒髪二人に詰め寄られ、銀髪が机の上に突っ伏する。 「だーって、練習終わってからずっとやってんじゃんよ~。 もうオレ耐えらんねぇ、餓死するぅ。 」 「「するか、バカ。 」」 「あ~、ハモリはヘコむなぁ。 」 言葉とは裏腹に笑ったままの顔を見て、ツンとルイは溜息をついた。 「まだ六月だしぃ、これから覚えるからぁ。 」 「カッ!テメェが作戦わかってなきゃ、夏合宿がムダに終わんだよ!」 「なになに、それってオレ超大事ってこと?やっぱ銀さんがいないと始まんない?」 「カッッ!!テメェ、一遍死ぬか!?」 「・・・ルイ、バカは殺しても治せねぇぞ。 」 額に青筋を浮かべる二人をよそに、銀は夕食の思案を始めている。 「な~、二人は何食べたい?」 「おい、誰がメシ食いに行くっつったよ?」 「ええっとぉ、んじゃ、ジャンケン勝った奴の食いたいものにしようぜ。 」 「カッ!人の話を聞きやがれ!」 「・・・諦めろ、コイツはこういう奴だ。 」 「じゃ行くぞー、ジャーンケーン、ポン!」 「うっわ、うまそう!なぁ、どれにする?」 30分後、ミスタードーナツのショーケースの前に、ものすごく嬉しそうな銀とものすごく嫌そうなルイとツンがいた。 「フレンチクルーラーと、ポンデリングの黒糖と、チョコファッションね。 あ、エンゼルクリームも・・・。 」 「俺、コーヒーしかいらねぇ。 」 「・・・俺もコーヒーだけで。 」 コーヒーを片手にルイとツンはできるだけ奥のテーブルに腰掛けた。 銀はコーラかオレンジジュースかでまだ迷っている。 大きな窓を見やればとっぷりと暮れた町並みよりも、ポップな配色の店内に陣取る不機嫌な不良二人を映し出した。 はっきり言って、ものごっつい違和感だ。 「おまたせ~。 」 「お前、それ夕飯か!?」 「そだけど?」 銀のトレイには五個のドーナツとスムージーが乗っていた。 ツンは見てるだけで胸焼けがするのか、喉元を押さえて微妙に目を逸らしている。 「だから、こういう時はロングパスだろ?」 「でもウチのラインから考えると・・・。 」 「メシん時くらい、頭使わせんなよ~。 」 銀が甘い息を吐きながら抗議したとき、葉柱の携帯が鳴り響いた。 曲は、世界一有名なSF映画に出てくる、あの黒尽くめの悪役のテーマ。 しかしその足しか見えていないだろうタイミングで葉柱は電話を取る。 「もしも・・・あぁ!?待て、今ガッコじゃねぇ!!・・・っざけんな外道!!・・・あーわかったわかった、行きゃいいんだろ!」 額に青筋浮かべながら携帯を切ると、葉柱は立ち上がった。 「・・・行ってくら。 」 「「ゴクローサン。 」」 「銀、明日までにパスルート全部完璧にしとけよ。 」 「えー!!無理、ぜってぇ無理!!」 「カッ!!外道の迎えに行くよりマシだろが!!」 「・・・オレ代わりに迎えに行ったら、覚えなくてもいい?」 「カッ、ンなわけあるか!!じゃあな。 」 白い長身が出て行くと、銀は大きな溜息をつきながらテーブルに頬杖をつく。 その前にツンがパスルートの書いてある紙を広げた。 「だっから、メシ時まで頭使いたくねーんだって・・・。 」 「ルイいないからってサボるわけにいかないだろ。 」 明日殴られんぞ、との怖い忠告にも銀髪はそよとも動かない。 「あーあ、アイツだけずるいよなぁ。 」 「・・・ルイのことか?つか、あの外道に使われてんだから、むしろ拷問だろ。 」 「そうじゃねぇよ・・・あの外道がよ。 」 「?」 怪訝そうな顔をしたツンから目を逸らして銀は続けた。 「だってずるくねえ?今だってルイ、あの悪魔ンとこじゃん。 あり得ねぇよ。 」 オレらのルイなのに、と銀は唇をとがらせる。 「自分らのヘッド、毎日呼び出されてよ。 いいように使われてよ。 マジ我慢できねぇ。 」 「しゃーねぇだろ。 負けたオレらが悪い。 」 「そりゃそーだけどよー。 なんつーかさー・・・・・やっぱ、ずるくねぇ?あんなルイばっかし呼ぶなんてよ。 」 「・・・そりゃまあルイは賊学の頭だからな。 連れ回して、言うこと聞かせて、それを見せびらかしてんだろ。 あの外道のやりそうなこった。 」 「だってよ、今日メシ一緒したのだってすっげぇ久しぶりだぜ!?毎日オムカエしてっから、バイクも一緒に流せねぇし、それどころか部活終わってすぐ呼び出しだからろくろく話せねぇし!この間オレがルイの携帯見たときも、すっげぇの!ルイの着信履歴、ものの見事に悪魔ばっかなの!オレの履歴とかキレイさっぱり消えてんの!どう思うよ、コレ!?」 「・・・どうって。 」 「ルイもルイだよ!何でアイツ、言いなりになってんの!?『10分』って言われたら無理でも10分で行っちまうし、『タクシー1台』っつったら当然のように自分が行っちまうし!」 「・・・銀、お前蛭魔に怒ってんの?ルイに怒ってんの?」 「両方!!」 言い切る銀にツンが吹き出す。 「何笑ってんだよ!」 「・・・いや、悪ぃ。 まあほら、ルイの奴、根が硬派だから。 」 「ンなのわかってるよ!」 「手ぇ抜くとか、サボるとか。 そういうのできねぇんだよ、ルイは。 知ってんだろ?」 しぶしぶといった感じで頷く銀に、ツンが諭すように続ける。 「真面目なんだよ、ルイは。 」 「・・・・・真面目な不良って、おかしくね?」 「でもそこが良いんだろ?」 「・・・。 」 「そんなルイだから、良いんだろ?」 「・・・っあーもうっっ!!だから余計に腹立つんじゃねぇかっ!」 「ったく、ガキかテメェは。 」 ツンのでかい手がワシャワシャと銀髪を乱して、その間だけ銀の顔が怒りでなく、くすぐったさで歪む。 ツンはそのまま手を銀の頭に置き、銀もそのまま顔をあげようとしない。 「・・・負けたコッチが悪いんだ。 我慢しろ。 」 「できねぇよ。 」 「それでも我慢しろ。 」 「できねぇ。 」 「ルイがけじめつけてんだ。 その間はさみしかろうがなんだろうが、我慢しろ。 」 「・・・・・。 」 「わかったか?」 「・・・・・・・わかった。 」 「よし。 」 「・・・けどやっぱムカつく!!」 「ガキ。 」 銀が鼻息を荒くし、ツンは苦笑しながら冷めたコーヒーを飲み干した。 「っあー、食った食った。 」 うーん、と満足そうに伸びをする銀の隣で、ツンが深呼吸する。 ずっと甘い匂いを嗅いでいたせいか、吐く息まで甘いような気がした。 「・・・とりあえず、ウチでパスルートのおさらいすんぞ。 明日マジでルイにぶっ飛ばされっかんな。 」 「うーい。 」 あまりやる気のない返事に溜息を返し、自分たちのバイクに戻ってくれば、二つのバイクの間に随分広く開いているスペース。 その改造ゼファー1台分の空白を見て、銀がぼそりと呟いた。 「・・・ルイ、帰ってくるよな。 」 「大丈夫だ。 」 銀と目が合うと、ツンがニヤリと笑った。 「『バカな子ほどかわいい』っていうだろう?」 「それオレ、かわいいってこと!?それともバカってコト!?」 「・・・さあな。 」 くっくっと笑いながらバイクにまたがるツンに、銀が食い下がる。 「なあ、どっち!?ってかオレ、ルイの子供じゃねぇし!!」 「ほれ、帰んぞ。 」 バカのほうは嫌だなぁ、と尚もぶちぶち呟く銀に苦笑しながらツンは愛車のアクセルをフカす。 「・・・腹、減ったなぁ。 」 そう言えば自分はコーヒーしか飲んでいない。 「・・・コンビニ寄って、弁当でも買うか。 」 「はいはい!オレ、牛カルビ丼ね。 」 「・・・・・まだ食うのか。 」 やっぱ、コイツバカな子だ。 っつかヒナだ・・・誰のか知らねぇけど。 軽い眩暈を覚えながら、ツンは最寄のコンビニの位置を頭の中で確認する。 「カルビ丼!カルビ丼!」 「・・・わかったから、連呼するな。 」 ドルン、とバイクを発進させれば、暗いバックミラーに銀髪がうかんで、やっぱりなんだか鳥のヒナみたいだった。 不意に昔テレビで見たカルガモの親子を思い出す。 あの母鳥もヒナより後から、餌を食べていた。 「・・・つか、鳥じゃねぇし、親じゃねぇし。 」 「えー!ナニー!?」 「何でもねぇ!!」 吹き付ける風と爆音の中、カルビ丼が置いてありますように、と祈りながらツンはコンビニへとバイクを急がせた。 ・・・あー、腹、減ったなぁ。 【終】.

次の