宇 随 天元 夢 小説。 【鬼滅の刃】雀の恋【宇髄→主⇄善逸】

【鬼滅の刃】宇髄天元には3人も嫁がいた!?人生もド派手に行こうぜ!宇髄が鬼殺隊に入隊したきっかけは?忍以外の能力は?

宇 随 天元 夢 小説

いいよって方は進んでください。 [newpage] 宇髄天元には望んだ家族の像があった。 「クソ、派手にしぐじったっ、」 雪深い山中で近隣の村で人間を狩っていた鬼を始末したはいいが足場にしていた 場所が雪庇であることに気付かず、崩れ落ちた次の瞬間凍てつく冬の川の中にその身が沈んだ。 鬼自体は全くといっていいほど柱である宇髄が相手にするには手応えがない弱さだった。 まさか倒した後にこのようなことになるとは、とマイナスを下回った気温の中の戦いの後に肌を突き刺す水の中に身を落とした宇髄は瞬時に呼吸を整え体温が急速に下がらないようにしたが思った以上に川の水が冷たく 息が詰まりそうになった。 川べりに手を伸ばし陸地を掴むもののそれは凍った川の水で掴めばすぐに崩れおち、そのまま川下に流され体も冷えから来る痺れに宇髄は川の中にあった 岩を踏みしめ力いっぱい蹴り飛ばすように川の中から陸地に脱出を図った。 「はぁ、はぁ、・・・まずいな。 」 川から脱出し、陸地に出たいいが周りも雪が降る極寒。 水に濡れた宇髄の体から冷たい吹雪の風が体温を刻一刻と奪っていった。 濡れた睫や産毛が瞬時に凍るほどの寒さだ。 長時間いるのは命にかかわると本能が知らせていた。 「とにかく、ふもとに行かねぇと。 」 全集中・常中をしていても身体が冷えるのを押さえるで精一杯で身体を動かすのに最低限必要な体温まであげることが出来ないでいた宇髄はざくり、と雪を踏む音に視線を向けた。 鬼の気配はない。 獣の気配も。 視線を向けた先に居たのはまだ幼さの抜けない子供だった。 背中に竹籠を背負い、特徴的な赤みがかった黒髪と同じように赤を帯びた瞳がまるで火のようだった。 「っ、父さんっ!!人がっ!!」 声を荒げた少年は宇髄に駆け寄ると川の水に濡れた彼に自分の来ていた羽織と首に巻いていた襟巻を頭に被せその体を温めるようにさすった。 「な、なんで!?え、っと大丈夫ですか、川に落ちたんですか!?なんでこんな薄着でっ、だめだ、全然温まらないっ。 」 「おま、え、このあたりのガキか?」 「この先に住んでます。 ひとまず家にっ。 」 「炭治郎、どうしたんだい、大声を出して、」 穏やかな声、まるでここが春の野原の様なそんな穏やかさと温かさのある声。 そう、まるで自身が仕える主の声のように揺らぐ、そんな声が聞こえた。 「父さんっ、この人川に落ちたみたいでっ。 」 「それは大変だ、もし、私の声は聞こえますか?」 痩せた男は少年によく似ていた。 いや、この場合彼に少年が似たのだろう。 一目見て親子だと分かる人相に装い。 「あ、あぁ。 」 「私に合わせてゆっくり呼吸をしてください。 」 こきゅう、という言葉に宇髄は彼にもう一度視線を向けるがその優しい瞳を見て、いつのまにかその口から零れる呼吸に己の呼吸を合わせていた。 すると暫くしてあれほどまでに寒かった身体が僅かだが動けるまで回復していることに気付く。 「歩けますね。 」 「あぁ。 」 「私が背負っていければいいのですが、この体では無理なので、すみませんが頑張って歩いてください。 炭治郎、そっちを。 」 「うん、頑張ってください。 すぐそこですから。 」 二人に肩を貸してもらいながら、いささか引き摺られるように宇髄は彼らの住む家に招かれることになった。 それが最初の出会い。 冬の寒い寒い雪の降る日のことだった。 [newpage] 「あーてんげんさまー。 」 「あー、いらっしゃーい。 」 「天元様、いらっしゃい。 」 「おー、いらっしゃい。 」 秋も更け、山の中は街よりも早く冬の気配が訪れようとしているなか、天元はあの家族のもとに足を運んでいた。 あの出会いから2年ほどが経ち、天元は時間が空けばこの場所に出向くようになってた。 彼を助けた父子は代々炭焚きをする家系で山で暮らしているのだといった。 竈門炭十郎という父と葵枝という優しい母、長男である炭治郎に竹雄、禰豆子、花子、茂の7人家族は大層賑やかでそれでいて穏やかで温かい、そんな家族だった。 明らかに怪しい身形であろう宇髄を心配し冷えた体を温め、ぬくもりを与えてくれた彼ら家族との交流はあの数時間以降、こうして定期的に続いている。 「おお、天元様だぞ、元気にしてたかガキども。 ほれ、土産だ。 」 駆け寄ってくる竹雄、花子、茂に土産の品を渡し、洗濯物を干しながら笑う禰豆子の頭をぽんぽんと叩く。 幼いながらによく働く娘だ。 将来は母に似て美人な顔だからきっといい女になるだろう。 「菓子と、あとは生地とか持ってきたから好きに使え。 」 「ありがとう、天元様。 」 「葵枝さんと炭治郎は?」 その言葉を禰豆子に投げかけると玄関の戸が開き、赤子を抱いた口元に黒子のある 女性が顔を見せた。 「賑やかだと思ったら宇髄さん、いらっしゃい。 」 「あぁ、悪いな、またちょっと世話になる。 」 こうして足を運び1日か2日泊まる。 文は危険な仕事についている身だからこそ、交わすことはなく、ただフラっと宇髄が訪れるのと迷惑そうな顔を一切せずいつだって竈門家の面々は迎えてくれた。 世話になるのに最初は金を渡そうとしたが竈門家の人間はそれを一切受け取ろうとしなかったのでこうして土産という形をとって世話になる分以上の品を渡すことにしている。 昨年、彼らの大黒柱であった炭十郎は亡くなり、末の弟である六太が生まれた。 悲しいこととめでたいこと、そんな中にあってもこの家族は逞しい。 「あ、天元様。 」 竈門一家の母である葵枝に魚や野菜などの入った包みを渡していると後ろからはじける様な声が聞こえ、宇髄は振り返り大きく手を開いた。 空になった竹籠を放り出し宇髄に駆け寄ってきた少年は先ほどから宇髄が探していた 竈門家の長男である炭治郎で、勢いよく宇髄の胸に飛び込んできた彼を宇髄は力いっぱい抱きしめた。 「いらっしゃい、天元様!」 「おー炭治郎!また炭売りに行ってたのか!働き者で偉いぞ!!」 持ち上げそのままぐるぐる回るとあはは、と楽しそうに笑う声があたりに響く。 「あー!!兄ちゃんずるい!!」 「てんげんさま、俺も、俺も。 」 「私も!」 宇髄に構われる炭治郎を見て弟や妹も駆け寄ってくるので宇髄は彼らを両手にぶら下げ ぶんぶんと振り回し辺りには子供たちの笑い声が響いた。 だが、その交流を最後に竈門家の幸せは崩れることになるなどその時は誰にも知る由はなかった。 冬の期間は竈門家に出向くことはない。 だからこそ、春、木々が蕾を付け始めた頃、宇髄はいつものように足を運び、そこで目の前の光景に持ってきた品をぼとり、と地面に落とした。 「は?」 いつものようにてんげんさまー、と賑やかな声で出迎えることはなく、あるのは壊された玄関の戸、そして黒ずんだ染みに塗れた家の中が宇髄の目に入ってくる。 触れずとも足を踏み入れずともわかるのは宇髄の長年の経験からだった。 あれは、血だ。 それも大量の。 熊ではない。 爪痕がなく獣の毛も土間に足跡もない。 これは鬼の仕業だと、そう直観的に悟った。 『天元様。 』 『てんげん様。 』 『てんげんさまー。 』 『天元さま。 』 『宇髄さん。 』 あぁ、耳鳴りが聞こえる。 あの賑やかで穏やかに己を呼ぶ声の幻聴が木霊する。 吐き気がする。 ドクンと暴れる様な脈の音が聞こえる。 思わず耳を押さえる。 『天元様!!』 あぁ、あの太陽の様な笑顔と声を、誰が奪った? 瞬間、膨れ上がるのは怒りと殺意。 天元の理想だった。 仲が良くお似合いの父と母。 優しく思い遣りのある長男。 器量よしで穏やかな長女。 明るく楽しい弟たちと妹。 忍びの家系に生まれ、焦りの中で狂っていった父からの叱咤で死んでいった兄弟を 持った宇髄が望む、そんな家族だった。 だからこそ、慈しみ、見守っていた家族が奪われた。 奪ったのは、鬼。 憎むべき、己が倒している存在が、宇髄から彼らを奪ったのだ。 「ふざけんな、・・見つけ出して必ず殺す、派手に殺す。 」 まるで獣の唸り声のような低く憎悪の籠った声があたりに響きその殺気から木々に止まっていた鳥たちがバサバサと飛び立っていった。 一刻も早く、鬼を倒すために情報をあつめなければ、と踵を返そうとした宇髄は家の脇に盛り上がる土を見つけ足を止めた。 一歩一歩と足を踏み出し、近付き膝をつく。 コレは墓だ。 土を盛っただけの質素なものだが、5つ。 「2つ足りない。 」 生き残りがいる。 少なくとも2人。 その2人が家族を埋葬し、逃げるようにこの場を去った。 「すまない。 確認させてくれ。 」 手を合わせ、亡骸にこれから己が働く無礼を詫び宇髄は家の壁に立てかけてある 掘棒を手に取り、土に差した。 再び土を被せ、手を合わせ、宇髄はようやく深い息をついた。 服や身体の様子から、生きているのは炭治郎と禰豆子ということが分かった。 何らかの理由で彼らは鬼の襲撃から逃れ、亡くなった家族を埋葬しこの場を去ったのだ。 宇髄は墓に摘んだ花を手向け、もう一度だけ手を合わせる。 きっとこの場所にはもう来ない。 宇髄の望んだ理想の家族は死んだ。 なら生き残った2人を探し彼らを守らなければならない。 「安心しろ、炭治郎と禰豆子は俺が守る。 この宇髄天元の名に懸けて絶対に。 」 その時、ふと名前を呼ばれた気がした。 [newpage] 鬼を倒し、日々奔走する鬼殺隊の中でも彼らを指揮する立場にいる柱である宇髄は彼が仕える主より屋敷に召集された。 半年に一度の柱たちが集まり主に目通りする柱合会議。 その場に来た宇髄は庭の玉砂利の上に縛られうつ伏せで眠っている、いや気絶している少年を見て目を見開いた。 今回の招集の一番の議題は鬼殺隊でありながら鬼を連れている隊士についての処遇と聞いたが、そこにいるのは見間違えることのない、少年だった。 日の光に当たる彼は鬼ではない。 では誰が? 宇髄の中で警鐘がなる。 ならば、それは、炭治郎が身を挺し、その身以上に大事にするのは妹だ。 禰豆子が鬼に? だが聞けばその鬼は人を食わない、とそう報告があった。 最初はどんな世迷い事だと思った。 鬼は肉親でも区別なく食らう。 だからこそ最初に食われる確率が高いのは肉親だ。 いままでそういう人間を何人も宇髄は、柱たちは見てきている。 だからこそそれを馬鹿な話だ、と最初から信じてなどいなかった。 だか、それが炭治郎と禰豆子なら? その可能性はなくはない、と宇髄は思うのだ。 あれほどまでに愛に溢れ、お互いを思いあう家族を宇髄は知らない。 宇髄は柱だ。 その責務がある。 だが宇髄が尊重するのは自分の命ではなく彼の嫁、一般人、自分と明確な序列がある。 その中に嫁と同等にあったのは竈門家の面々だった。 その生き残りで家族の中でも一等に面倒を見て気に入り構い倒していた少年が目の前に 居る。 あれほどまでに探しても見つからなかった少年がまさか己と同じ鬼殺隊に入っているなど灯台下暗しとはこのことだろう。 禰豆子が鬼でもそれを炭治郎が庇い、人を食わぬというのなら、あの墓前での誓いを宇髄は果たさねばならない。 たとえ、報告が嘘で、己の命が危険に晒されることになったとしても、だ。 庭に膝をつき、炭治郎を抱えるように仰向けに差せた宇髄の行動に集まった柱である一同は怪訝そうな顔を向けた。 「おい、おい、炭治郎、起きろ。 」 ぺしぺし、と宇髄にしては優しい手つきで傷付いた頬を叩く。 その際に彼の怪我の程度を確認し眉を寄せる。 全身の擦過傷や切り傷、下顎も怪我をしているし、ここに来るまでも色々あったのだろうことは察したが寝かせては置けない。 しばらくしたら宇髄たちの主が顔を見せるのだから。 だが炭治郎が起きないので宇髄が鼻と口を手で塞ぐとふがっ、と彼が目を覚ました。 「よ、炭治郎。 」 「え?へ?」 「俺が誰だかわかるか?」 赤みの含んだ瞳を瞬かせその瞳に己が映る。 「て、天元様?」 「おう、宇髄天元様だ。 ったく、本当何してんだお前。 こんなになって。 」 「だって、みんなが、ねずこが、俺が俺がなんとかしなきゃ、」 宇髄のことを確認した炭治郎が涙を浮かべしゃくりあげ始めたのを見て宇髄は彼の己よりも随分と小さな体を抱きしめ背をトントンと叩いた。 「おう、よく頑張った。 流石炭治郎だ。 よく諦めなかった。 お前は俺が見込んだ子だ。 派手に良い子だ。 」 「ふ、ぅ、わぁぁぁん、てんげんさまぁぁ。 」 「おう、天元様だぞー。 よしよし。 」 「てんげっごほぅ、げほっ、」 喉を傷めているだろう炭治郎はすぐに咳き込み、宇髄は背を撫でると医学に精通している蟲柱である胡蝶に声をかけた。 「胡蝶、水あるか?」 「えぇ。 鎮痛剤も入っているので少しは楽になると思いますよ。 」 彼女から水の入った瓢箪を受け取り炭治郎の口元にもっていくとこくりこくりと嚥下するのを確認し蓋を閉める。 涙の零れる目じりを拭いまた背をトントンと叩く。 今度は静かに涙を流す炭治郎のぬくもりを感じながら宇髄は己に向いた視線に嫌々ながら目を向ける。 「なんだよ。 」 「宇髄はその少年と知り合いか?」 声量を押さえない炎柱である煉獄の問いにあー、と宇髄にしては言い淀む。 知り合いにしてはそのうちに入れ過ぎているそれを何と呼べばいいものか、と思っているとふと炭十郎の声が脳裏によみがえってきた。 『宇髄さんさえよければ我が家だと思って寛いでくださいね。 家族が増えるのはめでたいことですから。 』 あぁ、そうか、うん、と宇髄は納得し炭治郎の血でゴワゴワになってしまった髪を撫でた。 「俺の家族だ。 」 その言葉に柱たちが僅かにざわついたが、首に回された炭治郎がぎゅ、と力をこめてくるので己の言葉は間違っていないと宇髄は胸を張って言える。 「血のつながりはねぇ、世話になった家のガキだ。 」 「ほう。 」 「そうなんですか。 でもその子の妹さん、鬼になっちゃいましたよ。 庇ったその子も処罰されちゃいますよ。 」 胡蝶の言葉に炭治郎が声をあげる。 「禰豆子はっ!人を食べない!!鬼になってから2年以上禰豆子は一度も人を食べてない!禰豆子は、禰豆子はそんなことするこじゃない。 俺と禰豆子は一緒に戦える。 鬼殺隊として人を守るために戦える、戦えるから。 」 必死に妹を守ろうと言葉を発する炭治郎のその背を撫でながら天元は首から離された手を握る。 昔から肉刺ばかりの手だったがさらに分厚く固くなった手。 炭治郎の努力が見える手を握る。 「わかってる。 お前がそういうなら俺は信じる。 禰豆子もお前も優しくてお人好しで頑固でそれでも誰よりも良い子だもんな。 」 「て、天元様ぁぁ。 」 だれが疑っても自分は彼らを信じなければならない。 そう思った天元は砂利を踏む足音を聞いた。 「おいおい、何だが面白いことになってるなァ。 」 手に背負い紐のついた箱をもった風柱である不死川実弥は楽しそうに傷だらけの顔に 獰猛な笑みを浮かべていた。 「鬼を連れた馬鹿隊員はそいつかいィ。 」 箱の中から鬼の気配がする。 アレにきっと禰豆子が入っていることを宇髄は悟ったが相手が悪い。 柱の中でも獰猛で好戦的な男がそれをもっている。 「鬼殺隊として人を守るために戦えるゥ?そんなことはありえねぇんだよ馬鹿がァ。 」 刀を鞘から抜いた不死川が箱を指すまでは一瞬で、宇髄は炭治郎を抱えたまま跳躍し彼の頭に向かい足を一閃し当たらずも宇髄の腕から出てきた炭治郎の頭が彼の顔面にあたる。 炭治郎が地面に落ちる前に抱き留め、箱を持って不死川と距離をとるために後ろ手にとんだ。 子ども二人を抱えて飛ぶことなど宇髄には容易なことだ。 「禰豆子、禰豆子、大丈夫か?」 「炭治郎おちつけ、刀で刺されたくらいで鬼なら心配いらねぇ。 」 「でも、なんてことをっ、」 宇髄の後ろに庇われた炭治郎は箱を抱きしめ不死川を睨みつける。 「善良な鬼と悪い鬼の区別がつかないなら、柱なんてやめてしまえっ!!」 その言葉に不死川から殺気が向けられたが子供の声にそれが霧散し、彼らの主がゆっくりと姿を見せた。 この後、会議で宇髄さんも炭治郎たちの味方をして禰豆子を刺した不死川と一触即発になるなんてこと、あるかもしれない。

次の

OLは夢を見ない 【宇髄天元】 [完結]

宇 随 天元 夢 小説

いいよって方は進んでください。 [newpage] 宇髄天元には望んだ家族の像があった。 「クソ、派手にしぐじったっ、」 雪深い山中で近隣の村で人間を狩っていた鬼を始末したはいいが足場にしていた 場所が雪庇であることに気付かず、崩れ落ちた次の瞬間凍てつく冬の川の中にその身が沈んだ。 鬼自体は全くといっていいほど柱である宇髄が相手にするには手応えがない弱さだった。 まさか倒した後にこのようなことになるとは、とマイナスを下回った気温の中の戦いの後に肌を突き刺す水の中に身を落とした宇髄は瞬時に呼吸を整え体温が急速に下がらないようにしたが思った以上に川の水が冷たく 息が詰まりそうになった。 川べりに手を伸ばし陸地を掴むもののそれは凍った川の水で掴めばすぐに崩れおち、そのまま川下に流され体も冷えから来る痺れに宇髄は川の中にあった 岩を踏みしめ力いっぱい蹴り飛ばすように川の中から陸地に脱出を図った。 「はぁ、はぁ、・・・まずいな。 」 川から脱出し、陸地に出たいいが周りも雪が降る極寒。 水に濡れた宇髄の体から冷たい吹雪の風が体温を刻一刻と奪っていった。 濡れた睫や産毛が瞬時に凍るほどの寒さだ。 長時間いるのは命にかかわると本能が知らせていた。 「とにかく、ふもとに行かねぇと。 」 全集中・常中をしていても身体が冷えるのを押さえるで精一杯で身体を動かすのに最低限必要な体温まであげることが出来ないでいた宇髄はざくり、と雪を踏む音に視線を向けた。 鬼の気配はない。 獣の気配も。 視線を向けた先に居たのはまだ幼さの抜けない子供だった。 背中に竹籠を背負い、特徴的な赤みがかった黒髪と同じように赤を帯びた瞳がまるで火のようだった。 「っ、父さんっ!!人がっ!!」 声を荒げた少年は宇髄に駆け寄ると川の水に濡れた彼に自分の来ていた羽織と首に巻いていた襟巻を頭に被せその体を温めるようにさすった。 「な、なんで!?え、っと大丈夫ですか、川に落ちたんですか!?なんでこんな薄着でっ、だめだ、全然温まらないっ。 」 「おま、え、このあたりのガキか?」 「この先に住んでます。 ひとまず家にっ。 」 「炭治郎、どうしたんだい、大声を出して、」 穏やかな声、まるでここが春の野原の様なそんな穏やかさと温かさのある声。 そう、まるで自身が仕える主の声のように揺らぐ、そんな声が聞こえた。 「父さんっ、この人川に落ちたみたいでっ。 」 「それは大変だ、もし、私の声は聞こえますか?」 痩せた男は少年によく似ていた。 いや、この場合彼に少年が似たのだろう。 一目見て親子だと分かる人相に装い。 「あ、あぁ。 」 「私に合わせてゆっくり呼吸をしてください。 」 こきゅう、という言葉に宇髄は彼にもう一度視線を向けるがその優しい瞳を見て、いつのまにかその口から零れる呼吸に己の呼吸を合わせていた。 すると暫くしてあれほどまでに寒かった身体が僅かだが動けるまで回復していることに気付く。 「歩けますね。 」 「あぁ。 」 「私が背負っていければいいのですが、この体では無理なので、すみませんが頑張って歩いてください。 炭治郎、そっちを。 」 「うん、頑張ってください。 すぐそこですから。 」 二人に肩を貸してもらいながら、いささか引き摺られるように宇髄は彼らの住む家に招かれることになった。 それが最初の出会い。 冬の寒い寒い雪の降る日のことだった。 [newpage] 「あーてんげんさまー。 」 「あー、いらっしゃーい。 」 「天元様、いらっしゃい。 」 「おー、いらっしゃい。 」 秋も更け、山の中は街よりも早く冬の気配が訪れようとしているなか、天元はあの家族のもとに足を運んでいた。 あの出会いから2年ほどが経ち、天元は時間が空けばこの場所に出向くようになってた。 彼を助けた父子は代々炭焚きをする家系で山で暮らしているのだといった。 竈門炭十郎という父と葵枝という優しい母、長男である炭治郎に竹雄、禰豆子、花子、茂の7人家族は大層賑やかでそれでいて穏やかで温かい、そんな家族だった。 明らかに怪しい身形であろう宇髄を心配し冷えた体を温め、ぬくもりを与えてくれた彼ら家族との交流はあの数時間以降、こうして定期的に続いている。 「おお、天元様だぞ、元気にしてたかガキども。 ほれ、土産だ。 」 駆け寄ってくる竹雄、花子、茂に土産の品を渡し、洗濯物を干しながら笑う禰豆子の頭をぽんぽんと叩く。 幼いながらによく働く娘だ。 将来は母に似て美人な顔だからきっといい女になるだろう。 「菓子と、あとは生地とか持ってきたから好きに使え。 」 「ありがとう、天元様。 」 「葵枝さんと炭治郎は?」 その言葉を禰豆子に投げかけると玄関の戸が開き、赤子を抱いた口元に黒子のある 女性が顔を見せた。 「賑やかだと思ったら宇髄さん、いらっしゃい。 」 「あぁ、悪いな、またちょっと世話になる。 」 こうして足を運び1日か2日泊まる。 文は危険な仕事についている身だからこそ、交わすことはなく、ただフラっと宇髄が訪れるのと迷惑そうな顔を一切せずいつだって竈門家の面々は迎えてくれた。 世話になるのに最初は金を渡そうとしたが竈門家の人間はそれを一切受け取ろうとしなかったのでこうして土産という形をとって世話になる分以上の品を渡すことにしている。 昨年、彼らの大黒柱であった炭十郎は亡くなり、末の弟である六太が生まれた。 悲しいこととめでたいこと、そんな中にあってもこの家族は逞しい。 「あ、天元様。 」 竈門一家の母である葵枝に魚や野菜などの入った包みを渡していると後ろからはじける様な声が聞こえ、宇髄は振り返り大きく手を開いた。 空になった竹籠を放り出し宇髄に駆け寄ってきた少年は先ほどから宇髄が探していた 竈門家の長男である炭治郎で、勢いよく宇髄の胸に飛び込んできた彼を宇髄は力いっぱい抱きしめた。 「いらっしゃい、天元様!」 「おー炭治郎!また炭売りに行ってたのか!働き者で偉いぞ!!」 持ち上げそのままぐるぐる回るとあはは、と楽しそうに笑う声があたりに響く。 「あー!!兄ちゃんずるい!!」 「てんげんさま、俺も、俺も。 」 「私も!」 宇髄に構われる炭治郎を見て弟や妹も駆け寄ってくるので宇髄は彼らを両手にぶら下げ ぶんぶんと振り回し辺りには子供たちの笑い声が響いた。 だが、その交流を最後に竈門家の幸せは崩れることになるなどその時は誰にも知る由はなかった。 冬の期間は竈門家に出向くことはない。 だからこそ、春、木々が蕾を付け始めた頃、宇髄はいつものように足を運び、そこで目の前の光景に持ってきた品をぼとり、と地面に落とした。 「は?」 いつものようにてんげんさまー、と賑やかな声で出迎えることはなく、あるのは壊された玄関の戸、そして黒ずんだ染みに塗れた家の中が宇髄の目に入ってくる。 触れずとも足を踏み入れずともわかるのは宇髄の長年の経験からだった。 あれは、血だ。 それも大量の。 熊ではない。 爪痕がなく獣の毛も土間に足跡もない。 これは鬼の仕業だと、そう直観的に悟った。 『天元様。 』 『てんげん様。 』 『てんげんさまー。 』 『天元さま。 』 『宇髄さん。 』 あぁ、耳鳴りが聞こえる。 あの賑やかで穏やかに己を呼ぶ声の幻聴が木霊する。 吐き気がする。 ドクンと暴れる様な脈の音が聞こえる。 思わず耳を押さえる。 『天元様!!』 あぁ、あの太陽の様な笑顔と声を、誰が奪った? 瞬間、膨れ上がるのは怒りと殺意。 天元の理想だった。 仲が良くお似合いの父と母。 優しく思い遣りのある長男。 器量よしで穏やかな長女。 明るく楽しい弟たちと妹。 忍びの家系に生まれ、焦りの中で狂っていった父からの叱咤で死んでいった兄弟を 持った宇髄が望む、そんな家族だった。 だからこそ、慈しみ、見守っていた家族が奪われた。 奪ったのは、鬼。 憎むべき、己が倒している存在が、宇髄から彼らを奪ったのだ。 「ふざけんな、・・見つけ出して必ず殺す、派手に殺す。 」 まるで獣の唸り声のような低く憎悪の籠った声があたりに響きその殺気から木々に止まっていた鳥たちがバサバサと飛び立っていった。 一刻も早く、鬼を倒すために情報をあつめなければ、と踵を返そうとした宇髄は家の脇に盛り上がる土を見つけ足を止めた。 一歩一歩と足を踏み出し、近付き膝をつく。 コレは墓だ。 土を盛っただけの質素なものだが、5つ。 「2つ足りない。 」 生き残りがいる。 少なくとも2人。 その2人が家族を埋葬し、逃げるようにこの場を去った。 「すまない。 確認させてくれ。 」 手を合わせ、亡骸にこれから己が働く無礼を詫び宇髄は家の壁に立てかけてある 掘棒を手に取り、土に差した。 再び土を被せ、手を合わせ、宇髄はようやく深い息をついた。 服や身体の様子から、生きているのは炭治郎と禰豆子ということが分かった。 何らかの理由で彼らは鬼の襲撃から逃れ、亡くなった家族を埋葬しこの場を去ったのだ。 宇髄は墓に摘んだ花を手向け、もう一度だけ手を合わせる。 きっとこの場所にはもう来ない。 宇髄の望んだ理想の家族は死んだ。 なら生き残った2人を探し彼らを守らなければならない。 「安心しろ、炭治郎と禰豆子は俺が守る。 この宇髄天元の名に懸けて絶対に。 」 その時、ふと名前を呼ばれた気がした。 [newpage] 鬼を倒し、日々奔走する鬼殺隊の中でも彼らを指揮する立場にいる柱である宇髄は彼が仕える主より屋敷に召集された。 半年に一度の柱たちが集まり主に目通りする柱合会議。 その場に来た宇髄は庭の玉砂利の上に縛られうつ伏せで眠っている、いや気絶している少年を見て目を見開いた。 今回の招集の一番の議題は鬼殺隊でありながら鬼を連れている隊士についての処遇と聞いたが、そこにいるのは見間違えることのない、少年だった。 日の光に当たる彼は鬼ではない。 では誰が? 宇髄の中で警鐘がなる。 ならば、それは、炭治郎が身を挺し、その身以上に大事にするのは妹だ。 禰豆子が鬼に? だが聞けばその鬼は人を食わない、とそう報告があった。 最初はどんな世迷い事だと思った。 鬼は肉親でも区別なく食らう。 だからこそ最初に食われる確率が高いのは肉親だ。 いままでそういう人間を何人も宇髄は、柱たちは見てきている。 だからこそそれを馬鹿な話だ、と最初から信じてなどいなかった。 だか、それが炭治郎と禰豆子なら? その可能性はなくはない、と宇髄は思うのだ。 あれほどまでに愛に溢れ、お互いを思いあう家族を宇髄は知らない。 宇髄は柱だ。 その責務がある。 だが宇髄が尊重するのは自分の命ではなく彼の嫁、一般人、自分と明確な序列がある。 その中に嫁と同等にあったのは竈門家の面々だった。 その生き残りで家族の中でも一等に面倒を見て気に入り構い倒していた少年が目の前に 居る。 あれほどまでに探しても見つからなかった少年がまさか己と同じ鬼殺隊に入っているなど灯台下暗しとはこのことだろう。 禰豆子が鬼でもそれを炭治郎が庇い、人を食わぬというのなら、あの墓前での誓いを宇髄は果たさねばならない。 たとえ、報告が嘘で、己の命が危険に晒されることになったとしても、だ。 庭に膝をつき、炭治郎を抱えるように仰向けに差せた宇髄の行動に集まった柱である一同は怪訝そうな顔を向けた。 「おい、おい、炭治郎、起きろ。 」 ぺしぺし、と宇髄にしては優しい手つきで傷付いた頬を叩く。 その際に彼の怪我の程度を確認し眉を寄せる。 全身の擦過傷や切り傷、下顎も怪我をしているし、ここに来るまでも色々あったのだろうことは察したが寝かせては置けない。 しばらくしたら宇髄たちの主が顔を見せるのだから。 だが炭治郎が起きないので宇髄が鼻と口を手で塞ぐとふがっ、と彼が目を覚ました。 「よ、炭治郎。 」 「え?へ?」 「俺が誰だかわかるか?」 赤みの含んだ瞳を瞬かせその瞳に己が映る。 「て、天元様?」 「おう、宇髄天元様だ。 ったく、本当何してんだお前。 こんなになって。 」 「だって、みんなが、ねずこが、俺が俺がなんとかしなきゃ、」 宇髄のことを確認した炭治郎が涙を浮かべしゃくりあげ始めたのを見て宇髄は彼の己よりも随分と小さな体を抱きしめ背をトントンと叩いた。 「おう、よく頑張った。 流石炭治郎だ。 よく諦めなかった。 お前は俺が見込んだ子だ。 派手に良い子だ。 」 「ふ、ぅ、わぁぁぁん、てんげんさまぁぁ。 」 「おう、天元様だぞー。 よしよし。 」 「てんげっごほぅ、げほっ、」 喉を傷めているだろう炭治郎はすぐに咳き込み、宇髄は背を撫でると医学に精通している蟲柱である胡蝶に声をかけた。 「胡蝶、水あるか?」 「えぇ。 鎮痛剤も入っているので少しは楽になると思いますよ。 」 彼女から水の入った瓢箪を受け取り炭治郎の口元にもっていくとこくりこくりと嚥下するのを確認し蓋を閉める。 涙の零れる目じりを拭いまた背をトントンと叩く。 今度は静かに涙を流す炭治郎のぬくもりを感じながら宇髄は己に向いた視線に嫌々ながら目を向ける。 「なんだよ。 」 「宇髄はその少年と知り合いか?」 声量を押さえない炎柱である煉獄の問いにあー、と宇髄にしては言い淀む。 知り合いにしてはそのうちに入れ過ぎているそれを何と呼べばいいものか、と思っているとふと炭十郎の声が脳裏によみがえってきた。 『宇髄さんさえよければ我が家だと思って寛いでくださいね。 家族が増えるのはめでたいことですから。 』 あぁ、そうか、うん、と宇髄は納得し炭治郎の血でゴワゴワになってしまった髪を撫でた。 「俺の家族だ。 」 その言葉に柱たちが僅かにざわついたが、首に回された炭治郎がぎゅ、と力をこめてくるので己の言葉は間違っていないと宇髄は胸を張って言える。 「血のつながりはねぇ、世話になった家のガキだ。 」 「ほう。 」 「そうなんですか。 でもその子の妹さん、鬼になっちゃいましたよ。 庇ったその子も処罰されちゃいますよ。 」 胡蝶の言葉に炭治郎が声をあげる。 「禰豆子はっ!人を食べない!!鬼になってから2年以上禰豆子は一度も人を食べてない!禰豆子は、禰豆子はそんなことするこじゃない。 俺と禰豆子は一緒に戦える。 鬼殺隊として人を守るために戦える、戦えるから。 」 必死に妹を守ろうと言葉を発する炭治郎のその背を撫でながら天元は首から離された手を握る。 昔から肉刺ばかりの手だったがさらに分厚く固くなった手。 炭治郎の努力が見える手を握る。 「わかってる。 お前がそういうなら俺は信じる。 禰豆子もお前も優しくてお人好しで頑固でそれでも誰よりも良い子だもんな。 」 「て、天元様ぁぁ。 」 だれが疑っても自分は彼らを信じなければならない。 そう思った天元は砂利を踏む足音を聞いた。 「おいおい、何だが面白いことになってるなァ。 」 手に背負い紐のついた箱をもった風柱である不死川実弥は楽しそうに傷だらけの顔に 獰猛な笑みを浮かべていた。 「鬼を連れた馬鹿隊員はそいつかいィ。 」 箱の中から鬼の気配がする。 アレにきっと禰豆子が入っていることを宇髄は悟ったが相手が悪い。 柱の中でも獰猛で好戦的な男がそれをもっている。 「鬼殺隊として人を守るために戦えるゥ?そんなことはありえねぇんだよ馬鹿がァ。 」 刀を鞘から抜いた不死川が箱を指すまでは一瞬で、宇髄は炭治郎を抱えたまま跳躍し彼の頭に向かい足を一閃し当たらずも宇髄の腕から出てきた炭治郎の頭が彼の顔面にあたる。 炭治郎が地面に落ちる前に抱き留め、箱を持って不死川と距離をとるために後ろ手にとんだ。 子ども二人を抱えて飛ぶことなど宇髄には容易なことだ。 「禰豆子、禰豆子、大丈夫か?」 「炭治郎おちつけ、刀で刺されたくらいで鬼なら心配いらねぇ。 」 「でも、なんてことをっ、」 宇髄の後ろに庇われた炭治郎は箱を抱きしめ不死川を睨みつける。 「善良な鬼と悪い鬼の区別がつかないなら、柱なんてやめてしまえっ!!」 その言葉に不死川から殺気が向けられたが子供の声にそれが霧散し、彼らの主がゆっくりと姿を見せた。 この後、会議で宇髄さんも炭治郎たちの味方をして禰豆子を刺した不死川と一触即発になるなんてこと、あるかもしれない。

次の

『【鬼滅の刃】宇髄天元との恋(R18)』第9章「煉獄杏寿朗※」 165ページ

宇 随 天元 夢 小説

不毛だと分かっている。 こんな事が世間一般から許される事なんてない。 こんな事がバレたら私だけじゃない、色んな人に迷惑が掛かるし世間の目があっという間に攻撃してくるだろう。 だから、この一回限りで良いんだ。 この一回だけで私は前向きに生きていける。 泣いてしまう時もあるだろうけど、思い出として強くなれると思うんだ。 だから、今回だけはどうか許して…。 * カーテンを締め切った暗くなった部屋の中で二人分の息遣いがこだまする。 無意識にちいさな体が逃げようとするが寸時にたくましい腕がちいさな体を抱き締めて引き止める。 息が止まりそうな程に強くかき抱かれて身動き出来ない。 噛みつくような口付けは奥に縮こまってる舌を捕らえてきつく吸い上げた。 「んっ…んんっ…!」 の瞳が震えて初めての快感に涙ぐむ。 息ができないほどに口腔を舐られ、くちゅくちゅと艶かしい音を立てて舌を擦り付けられ、その激しさにたちまち善逸の頭の芯がぼうっと霞んでしまう。 「ふぅっ、んっ……んん…ふぁ……」 酸欠になりそうになる寸前で口付けは解かれフラついた善逸の体は寝台の上へ沈んで倒れた。 「自分から誘ったくせにこんくらいでへばってンじゃーよ」 しゅるっと音を立ててネクタイをほどいて善逸を見下ろしてるのはキメツ学園の一人の先生である宇髄だ。 いつもは地味だからと薄銀髪の肩まで届く髪をターバン風に仕舞ってるのだけど先程善逸の手によって取られて端整な素顔が晒されている。 赤みがかった鋭い目に見下ろされて善逸はかぁっと顔が赤くなるのを自覚する。 宇髄の大きな手が密着した際にシワになった善逸のシャツに掛かった。 ビクッと震える幼い体にふっと笑みを浮かべながらボタンをひとつ、またひとつ…とわざとゆっくり外す。 指が僅かに体に触れる度に善逸はドキドキと心臓が煩く鳴るのを感じて今にも逃げ出したくなった。 こんなにもドキドキしてるのがバレるのではないかと気が気ではない。 最後のボタンが外されるとシャツの前を広げられて淡い黄色の下着に覆われた日に余り焼かれてない白い肌の胸が宇髄の前に暴かれる。 スッと宇髄の目が細まるのを見て善逸は羞恥の余り腕を交差して顔を隠し体を横向きにして宇髄の目から逃げようとする。 「~~~ッッ!そ、んな…見ないで下、さい…」 腕から覗く頬が赤く染まっている。 宇髄は顔を隠されたのが気に入らずその腕を外す。 大した力も入れずに細い腕は素直に顔からどき、赤くなって潤んだ目が宇髄を見上げる。 その表情に宇髄は舌舐めずりする。 まだ高校生でガキだと侮っていたがこんなにも艶のある表情もするのか。 普段は人の目も憚らず泣き喚いて醜態を曝しているガキだとは思えない表情をする。 1度だけで良いからと誘ってきたのはこのガキで、一体どういうつもりか知らないがガキ相手に勃つ訳ねーだろうと最初は断った。 が、思いがけず体は熱くなっている。 慣れない行為にモタモタし、口付けも初めてなのか震える姿はどうしてか…加虐心を擽られる。 徐に宇髄の手が下着を着けたままの善逸のまろやかな胸をまさぐった。 善逸はびくんと身体を震わせる。 今まで誰かに胸を触れた事も弄ばれた事もなくて全身に走った未知の感覚におののいた。 「んぁッ…」 甘い声が上がるのが恥ずかしくて口を手で押さえようとすると気付いた宇髄がそうはさせず代わりに再び善逸の口腔を舐りながら、柔らかな胸を円を描くように揉みしだいた。 そうしてブラをずらし、現れた快感で固くなりつつある赤い突起を親指と人指し指で摘まんだ。 「んんっ…!!」 なにか痺れるような甘い疼きが胸の先から下肢に走って善逸は目を見開いて身震いした。 なに、何…?今の、雷に撃たれたみたいな、身体の中を走った衝撃は何…?! 唇を離した宇髄が訳が分からず困惑してる善逸に見上げられてにやぁと笑みを浮かべる。 「気持ち良いだろぉ?」 さっきのが気持ち良い…って事…? 初めての事だらけで善逸はさっき身体を駆け抜けたのが快感だって事を知る。 そしてたったあれだけで何か可笑しくなりそうだったのにまだ行為は始まってすらいない事を恐れた。 恐れに善逸の目が揺れると宇髄は善逸の申し訳なさそうに鎮座する赤い乳首を口に含んだ。 ちゅっと音を立てて、啄むようにそこを吸うと善逸の全身にずきんと痛みにも似た痺れが走って声を上げる。 声を抑えようと口を閉じると空かさず宇髄がそれを止める。 我慢すんなよ」 宇髄はねっとりと舌先で善逸の乳首を舐った。 いやいやと頭を左右に振り声を上げようとしない善逸を乳首を舐めながら宇髄は見つめる。 白い頬が赤く染まる瞬間が幻想的な光景のようで美しかった。 ぬるりとした唾液にまみれた乳首がさっきよりも硬く凝ってくる。 声を我慢しょうとするが我慢しきれない声が口の隙間から漏れる。 「あっ、あ…や…宇、髄せんせ…」 胸を弄られてる間にブラが外され、スカートやシャツも脱がされて善逸はブラと同じ淡い黄色のショーツだけの姿となった。 まだ完全に大人になりきれてない身体を晒す事に恥ずかしがるも胸を愛撫された事により善逸は意識がぼんやりしてみるみる全身が熱く火照ってきた。 ぞくぞく背中を駆ける快感に上がる声が甘くなっていく。 宇髄の薄い唇が掠めるように乳首を擦っただけで吐息が熱く甘くなるのを善逸は自覚して頬を染める。 「はぁ…あッ…やだや、だ…恥ずかし、い…」 「は…まだこっからなのに今恥ずかしがってどーする」 宇髄の大きな手で覆われてしまう程の小振りな胸を両手で寄せ、白い肌にちゅっちゅっと音を立てて口付け、そのまま赤い痕を残す。 口を離すと白い肌に綺麗な赤い花びらが咲いて散る。 そしてまた、凝って硬く立ち上がった乳首を口に含み舌を絡み付かせながら強く吸い上げた。 「ぃやぁっ、あぁっ…やぁっ」 じくんじくんと甘い疼きがそこから生まれて腰の奥がかぁっと熱くなって善逸は身体の奥がざわざわして熱くなる事に戸惑い胸元に顔を埋める宇髄の頭に手を置き髪を掴んだ。 宇髄の歯が乳首を柔らかく噛むとビリっと雷に打たれたような愉悦が走る。 激しい疼きに思わず腰がびくんと跳ねる。 ど、どうしょう、身体が変だ。 なんか、なんか奥がざわざわする…!! 身体の異変にもじもじしてるとふいに宇髄が善逸の片足を持ち上げると足の付け根、その奥に手を滑らせた。 うわぁっ、と小さく悲鳴を上げてバッと顔を隠した善逸を横目に見つつ手元を見るとショーツが僅かに染みを作り濡れていた。 「はっ…濡れてるなぁ?」 ショーツの表面をなぞり、ぬめった粘液が指に絡み付いてくちゅり、と音を立てる。 指先で伸ばしたりして遊んで宇髄は笑う。 声にならない叫びを上げて善逸は指の隙間からこの男っ…!信じらんない!!とキッと睨んだ。 睨んだのだけど、その目は潤んでいて目端には今にも零れそうな涙が光っている。 そして、赤く染まっている顔で睨まれても大して威力はない。 まだ理性が残っている事を確認して宇髄は最後の砦であるショーツを足から抜き脱がした。 誰にも見せとない秘部を暴かれて心の準備がまだ出来てない善逸は悲鳴を上げて膝を持ち上げると宇髄の目から隠そうとした。 しかし僅かに太脚ですり合わせただけで完全には隠せず黄色の下生えが宇髄の目に止まる。 「へー…お前こっちも黄色なんだな」 「っ…や、そんなとこまじまじと見ないで下さいっ!!!」 善逸は羞恥の余り、耳朶まで真っ赤に染めて叫んだ。 叫んだ拍子に目端に溜まってた涙がポロっと零れ落ちた。 頬に流れ落ちる涙を首筋に落ちる前に宇髄が舐めとりながら薄い黄色の毛に覆われた秘部を、宇髄の指がそろりと撫で上げた。 「ひっ……!」 ざわっとした戦慄が背中を走り、善逸は仰け反った。 宇髄の指が、黄色の茂みに潜り込みつつましく閉じていた割れ目をそっとなぞったからだ。 未知への恐れが善逸を襲った。 「や、いやだっ…」 身体を小さく震わして悶え、宇髄の手を遠ざけようと腕に手を掛けようとした善逸を見下ろして宇髄は口を開いた。 「善逸」 その声に善逸はピタッと腕を止める。 一言、名前を呼ばれただけなのに抗えない。 宇髄を見つめた。 そうだ。 この行為はそもそも自分から誘って始めとだ。 怖がっている場合ではない。 善逸は腕を引っ込めて閉じていた膝をそろそろ…と開き宇髄が動きやすいようにした。 よく出来ましたと褒めるように善逸の柔らかな頬を撫でると心地良さそうに善逸の目がとろんと緩められる。 善逸の気持ちが落ち着いた所で宇髄は手の動きを再開させた。 くちゅり、と淫らな音を立てて指が割れ目に潜り込んだ。 ひやりとした指が内部に潜り込む感触に善逸はぶるっと身を震わせて恐怖と、甘い悦楽を含んだ何かに息を弾ませる。 「あ、あっ…」 入口をぬるぬると指で掻き回され、甘い疼きが下腹部からどんどんせりあがって善逸は声をあげてしまう。 なにか、とろりと熱いものが溢れて太股を濡らしてる。 善逸が怖がらないように顔中に唇を落として落ち着かせながら宇髄は淫らな音を響かせて指を奥へと進ませる。 「あっ!やぁ…宇髄、先生っ…」 「大丈夫だ、善逸…大丈夫」 奥に進む指に善逸が宇髄の肩に爪を立てる。 宇髄は声を掛けてやりながら指を更に進める。 狭い中の壁が宇髄の指に絡み付き締め付ける。 怖いのに、襲ってくる甘い疼きに善逸は喉を仰け反らして悶えた。 胸がふるっと揺れた。 指っ…宇髄先生の、入ってきてる…っ! 宇髄は善逸の白い首筋に舌を這わせた。 次第に上に上がってきた舌が善逸の小さな薄い耳朶の後ろを舐ると、ぞわっと悪寒にも似た刺激が走って嬌声が上がる。 「あっ!や、それっ…やだぁっ…」 「耳が弱いのか?」 善逸はびくんびくんと腰を震わせて身悶えた。 普段、何も感じない身体のありとあらゆる箇所がひりつくように疼いてしまう。 宇髄は善逸の性感帯を捉えて耳朶の後ろを熱い舌で何度もしつこく舐る。 舌がひらめく度に下肢が蕩けそうな程に感じてしまい、中がきゅうきゅうとうごめき宇髄の指に絡み付ききつく締め付ける。 善逸は耳がすこぶる良いのだ。 動物並みに小さな音や振動でも聞こえてしまう為、直接耳朶の裏を愛撫されると音と感覚に犯されて悶えてしまう。 熱く潤む粘膜を宇髄の指がぐちゅぐちゅと掻き回す。 善逸の喘ぎ声が甘いすすり泣きに変わる。 「あっあ…やらぁ、耳ッ…やっ…」 ふいに、宇髄の指先が割れ目の上に上がり頭をもたげていた小さな粒を探り当てて、つんつんと突いた。 すると途端に、びりびりと脳心まで貫くような快感が走った。 「っ、ひあぁっ…!!!あ、なにっ…なに…っ?!」 びくびくと全身をおののかせて善逸は悲鳴を上げた。 新たな熱いなにかが下腹部の奥からとろとろと流れてくるのが分かった。 善逸は耐えきれない悦楽に身を震わせて宇髄に訴えた。 宇髄は婉然と笑うと快楽に身悶える善逸の可愛い表情を愛しげに見下ろした。 「善逸。 もっと啼け」 残酷な宣告とも言えるその言葉に善逸は目を見開いて頭を左右に振って震える。 震える善逸を宥めながら、宇髄は充血した実を指の腹でくりくりと擽るように擦り上げると頭が真っ白になるような法悦に善逸は息を詰まらせる。 過ぎる快感に涙がぽろぽろと零れ落ちて善逸の頬を濡らす。 「善逸…もっとだ。 可愛い所を見せろ」 低く艶めいた声音で熱い息を耳に吹き掛けられ善逸は鼓動が速まり胸の奥がきゅんと痛くなって切なくなり、違う意味で泣きそうになった。 そしてかりっ、と実を爪で擦られ目眩がする程の激しい愉悦に、声を上げることすら出来ず善逸らびくんと腰を突き上げて息を詰めた。 「ッッ……!!!!」 脳裏で悦楽の火花がぱちぱちと激しく散って足の爪先がくっと引きつった。 ガクガクと震える善逸の身体を見下ろす宇髄が笑みを浮かべた。 と善逸が声を上げる前に宇髄の指がまた、強く実を擦った。 すると善逸の最後の理性の欠片が弾け飛んだ。 「だ、めッ……ぁっ、あぁぁぁあッッ…!!」 善逸の目の前が真っ白に染まった。 一瞬、気を失ってしまい善逸は目を閉じる。 しかし宇髄に頬を撫でられて瞼を震わせるとぐったりと弛緩した身体にふっと意識が戻り目を開いた。 シャツを脱いだ宇髄が善逸の顔の横に手を置き覆い被さる。 引き締まった筋肉質の身体はイタリアとかによくある彫像の神のように美しい。 ぼんやりとしていた善逸はけれど、次の瞬間ビシっと固まって血の気が引きサァーっと顔を青ざめた。 宇髄がスラックスの中から取り出した、生まれて初めて目の当たりにした昂る男の欲望…宇髄自身を見てしまったからだ。 は…?え、え…?ちょっ、嘘、ちょっと待って!あ、あんなの入る訳ないよね…?!!! 禍々しく凶暴に反り返ってるモノを見て善逸は身を起こし逃げ腰になって後ずさる。 あんなのが入る訳ないじゃん!何あれ、凶器??!壊れちゃう、死んじゃうっ!!! 「まっ、待って、」 「コラ逃げんな」 静止の声を掛ける善逸だったが宇髄は逃げる善逸を許さず逃げる細い腰を掴んで引き戻すと無駄な肉のない細い脚を大きく割った。 いやいやと怯える善逸のまだ悦楽の余韻が残る入口にぴとっと熱い亀頭を押し付ける。 びくりと震え、怖い筈なのに何故かそこがじんじんと疼く。 宇髄は熱い息を漏らして、ゆっくりと腰を沈めた。 傘の張った欲望の先端がひりつく壁を押し広げて進むのに善逸は身体を仰け反らせた。 「やぁっ……!」 狭い中がみしみしときしみ、引き裂かれるような激痛が走って善逸は涙をぽろぽろと流しながら宇髄の腕にしがみついた。 爪が肌に食い込み宇髄に傷を付ける。 「っ…きつ…善逸、力を抜け」 ゆっくり腰を進めながら宇髄が掠れた声でぎゅっと目を瞑って身体を固くする善逸に声を掛ける。 しかし善逸は力の抜き方なんて分かる筈もなくなくふるふると首を左右に振って身体を強ばらせる。 すると宇髄が顔を寄せて善逸の耳朶の後ろに舌を這わせて優しく囁いた。 「善逸。 ゆっくり息を吐け、大丈夫だ」 感じる所を舐られて思わず息を吐くと善逸の身体の緊張が緩んだ。 その瞬間を逃す宇髄ではなく一気にぐっと奥まで貫いた。 「あ、んんっ…!!」 自分の中に宇髄のモノがすっぽりと収まってるのを感じ善逸は目を見開いた。 熱、い…やっと、一つになれた…。 嬉しさに善逸の目から涙が溢れる。 好きなのだ、宇髄が。 例え、一生この想いが許されなくても今回の思い出だけで、幸せになれる気がする。 宇髄は深いため息を一つ吐くと顔に落ちる前髪をかきあげて中が馴染むまで暫しじっとする。 繋がった所を見下ろすと破瓜で血が中から滴り落ちていた。 目を細めてそれを見つめるとそれから徐に、腰を穿ち始めた。 「んぁっ!ぁ、待、…先、生ッ……」 善逸は声を上げながらぐらぐらと揺さぶられ、引きつるような痛みに宇髄に助けを求める。 宇髄は善逸の滑らかな頬を伝う涙を唇で受け止めながら低く甘い声で言う。 「こっから良くなる、それまでの我慢だ」 突き上げるような圧迫感に声を上げると宇髄が善逸の唇を覆った。 たちまち上がる声はくぐもって宇髄の口に消える。 舌が絡み合うと痛みが気にならなくなり善逸は必死に宇髄の舌に応えた。 意識が甘く蕩け、次第に痛みよりもじんわりとした快感の疼きに変わる。 奥になにか熱いものが生まれ、それが宇髄が奥を突く毎に次第に膨れ上がってきて善逸の身体を熱くする。 「は、ぁんッ…あぁ、ぁっ……」 中が甘く疼き、口から喘ぎ声が止まらず漏れだして身体を震える。 宇髄は息を荒くしながら次第に腰の動きを速めた。 ひりつく壁を擦り上げられる度に熱く燃え立つような快感が生まれ全身を蕩けさせていく。 さっきまで破瓜の痛みに震えていた中が今は悦びにうごめきながら宇髄自身に絡みついて離さない。 「やぁ…あ、ぁ…激し、ぃっ…!」 善逸は喉を反らし、甘い喘ぎ声を上げ続けた。 既に脳裏は何度も押し寄せる快感にのまれて何も考えられない。 くちゅぐちゅっと淫らな音を立てて抜き差しを繰り返し、溢れた蜜が破瓜の血で薄桃色に染まって寝台のシーツを汚して濡らしていく。 「ひぁっ、あ…や、もう、だめっ…」 激しい動きに新たな愉悦が生まれて善逸は嬌声を上げるしか出来ない。 未知の感覚に怯えながら、どんどん高みに追い上げられていく。 宇髄が力強く突き上げる度に善逸の脳裏で火花が散る。 全身が淫らに燃え上がり気持ち良くて苦しくて、もうなにがなんだか分からない。 そして奥をぐりっと抉るように突かれて善逸は最後の大波に呑まれて意識が真っ白になって声を上げた。 「ひぁっ…あ、あぁ、や、やぁああぁぁっ!」 びくんびくんと身体を震わせ、大きく仰け反った善逸の身体を宇髄が力強く抱き締めた。 その瞬間、 「ぁ…!」 「ッ…」 宇髄が低い吐息を溢して腰を細かく震わせた。 どうっと熱い奔流が善逸の中で弾ける。 じんわりと広がる熱いものを感じながら善逸はしがみついていた宇髄の腕にすり…とすり寄るとふっ…と思考をとぎらせた…。 * ふっと善逸は意識が浮上すると目を開けた。 目を擦って身を起こすとズキッと身体に痛みが走り、疲労で身体が重く怠かった。 自分の身体を見下ろすと綺麗になっていてバスローブを身に纏っていた。 先程の行為がまるでなかったかのようだった。 けれど腰の痛みがそれが嘘ではない事を教えてくれた。 「起きたか」 ベッドの上でぼんやりしてると今までシャワーを浴びていたのか上半身を剥き出しのままで濡れた髪をタオルで拭いてこっちに歩み寄ってくる宇髄。 善逸は宇髄の姿をぼんやりと見つめる。 ベッドに腰掛けて宇髄が大丈夫か、と善逸の頬を撫でると善逸は泣きそうになるのを我慢して笑顔を作った。 「…宇髄先生、今回はありがとうございました」 頬に触れる大きな手を、名残惜しく感じながらそっと外させて善逸は宇髄から顔を背けると痛む身体を無視してベッドから足を下ろして立ち上がる。 フラついたが踏み止まって気丈に振る舞う。 この人には、大事な人がいるんだ。 その前に教師と生徒の関係だ。 それなのに危険を承知で自分なんかと寝てくれて…初めてを貰ってくれた。 これ以上甘える訳にはいかない。 「私の我が儘で…初めてを貰ってくれてありがとうございます。 もう、忘れて大丈夫ですから」 宇髄から背を向けながら素早く下着を着けてシャツを腕に通す。 スカートを穿き、チャックを上げるとネクタイを結ぶ。 平常を装っているけど、声は震えてないだろうか。 「クソガキが…」 ひやりと冷たい声が後ろから聞こえてびくりとする。 目を見開いて後ろを振り返ると宇髄がタオルを投げ捨てて立ち上がる所だった。 近付いてくるのに後ろに下がって距離を取ろうとするも歩幅が全く違うものだからあっという間に追い付かれてしまい壁に追い詰められた。 怖い表情で見下ろされて身体が恐怖で震えて動かなくなる。 身長の高い宇髄に見下ろされると威圧感が半端なくて心の蔵が今にも止まりそうだ。 「お前…俺が何の責任もなく手を出したと思ってるのか。 あ?」 ギロッと凄まれて善逸はガタガタと震える。 涙がポロっと零れそうになるのを我慢して宇髄を見上げた。 「せ、責任なんて…私がお願いした事なので先生が気にすることなんて……」 ない、と言おうとしたが宇髄の手がダンッ!と大きな音を立てて壁に手を着いた事によって最後のまで言えなかった。 人生で初めて壁ドンされたのに全然キュンと来なかった。 固まった善逸を睨みながら見下ろし宇髄は冷たい笑みを浮かべた。 「教師が生徒に手を出した、それもまだ未成年のだ。 その時点で責任は取らざるを得ないんだよ。 それを忘れて下さいだぁ?俺はそこまで無責任男じゃねぇ」 まるでお前が悪いんだろうが。 と責められてるようで善逸は胸が痛くなって胸元をぎゅっと抑えた。 けれど悪いのは自分なのだ。 だからこそ責任なんて宇髄にはない。 お互いに今回の事を一生誰にも言わなければ済む話だから何故宇髄がこんなにも怒ってるのか善逸は分からなかった。 冷たい目が自分を見下ろしてるのが怖くて舌が悴むのをなんとか動かし尚更忘れた方が先生の為ですと伝えるとはぁ…と思いきり溜め息をつかれた。 顔を片手で覆ってコイツ、バカだ…と言わんばかりの宇髄の顔に次第に恐怖よりも善逸は怒りが込み上げてくる。 教師が生徒に手を出したのがバレたらヤバいのは良く分かっている。 分かっているから先生には忘れて欲しいのに何でそこで怒る訳?意味分かんない!それにアンタ、嫁さんがいるじゃん…!! 「お前、俺の事好きなのに忘れられて良いのか」 は…? 善逸は目を見開いて宇髄を見上げた。 赤みがかった目が見下ろしてきて宇髄の言葉を頭の中で繰り返す。 そうだ、自分は宇髄が好きだから誘って一生の思い出として初めてを貰ってもらったのだ。 けれど、好きだなんて一言も伝えてない。 そりゃそうだろう、美人な嫁さんがいるのにこの想いを告げても私なんかが勝てる訳じゃないから。 だから今回も最後まで渋ってた宇髄先生をなんとかその気にさせて手を出すしかない状態に追い込んだ。 それだけなのに何で私の気持ちがバレてる訳…?!!!! 固まる善逸を見下ろして宇髄がん?と首を傾げる。 「お前覚えてねぇの?意識落ちる前にお前好きって溢してたぜ?それに、お前が好きでもない男に処女捧げるとは思えねぇし」 その言葉に善逸は顔を両手で覆った。 まさか、自分から想いを告げていたなんて…!!!確かに意識が落ちる前に何か言った気がする。 かぁぁっと赤くなる顔を俯く事で隠し善逸は泣きそうになって涙が今にも溢れそうになる。 好きなんて、伝えるつもりなんてなかったのに。 黙って俯く善逸の両手を外し、宇髄は両手で善逸の頬を包み顔を上げさせた。 善逸の目から一滴の涙が流れた。 「ま、そんな訳で?頑張って誘っただろうお前が俺はこれでも凄く気に入ってんだ。 忘れろなんて言うじゃねぇ」 さっきまで体が冷えそうな程に冷たい目をしてたのに宇髄の表情は優しく甘い眼差しで善逸を見下ろし濡れた目元を親指で拭った。 せっかく拭ったのに、善逸は信じらんないと目を見開いて箍が外れたのか目からは止めどなく涙が溢れた。 「だ、って…アンタ…嫁さんいるでしょ…」 「あぁ。 けど言ってねーが嫁3人いるから」 は…3人?!!驚愕した善逸が宇髄を見上げたまま固まった。 そりゃ、こんな横暴だし自称・祭の神を宣うとんでもない派手派手とかうるさい男だけど素顔が男前だから女が放っとく訳ないと思ってたけど、嫁3人…?!! そんなの許されるの…?!!!余りの驚きに涙が止まった善逸の頬を撫で、抱き締めた。 「既に3人いるし嫁が一人増えても大した事じゃねぇ。 だから善逸…」 責任取らせてになれ。 せっかく止まった涙がまた溢れた。 こんな、事あっていい訳?これってもしかして私の都合の良い夢?まだ起きてないのかな私…だって、こんな、嬉しい事を…言われてるなんて信じらんない。 嗚咽が溢れ、つーんと鼻の奥が痛んだ。 いつまでも応えがないのに宇髄が善逸の頭を撫でて優しく返事は?と促すと小さな手が恐る恐ると宇髄の背中に回されて、こくっと頷いた。 行為の最中でも決して背中に回されなかった手が宇髄の背中にやっと回された。 ふっと笑って宇髄は小さな体を強く、世界から隠すように抱き締めた。 END mikoto-xs.

次の