ポイズン ドーター ホーリー マザー ネタバレ。 湊かなえさん『ポイズンドーター・ホーリーマザー』が電子書籍化

毒育ちが語る『ポイズンドーター・ホーリーマザー』|逸子|note

ポイズン ドーター ホーリー マザー ネタバレ

湊かなえさん著『ポイズンドーター・ホーリーマザー』 光文社文庫から2018年8月に発売され、WOWOWで連続ドラマ化もされた、湊かなえさん著『ポイズンドーター・ホーリーマザー』が電子書籍化され、主要電子書店で配信がスタートしました。 『ポイズンドーター・ホーリーマザー』 あらすじ <あらすじ> 女優の弓香の元に、かつての同級生・理穂から届いた故郷での同窓会の誘い。 欠席を表明したのは、いまも変わらず抑圧的な母親に会いたくなかったからだ。 だが、理穂とメールで連絡を取るうちに思いがけぬ訃報を聞き…。 (「ポイズンドーター」) 母と娘、姉と妹、友だち、男と女。 善意と正しさの掛け違いが、眼前の光景を鮮やかに反転させる。 名手のエッセンスが全編に満ちた極上の傑作集! 著者プロフィール 著者の湊かなえ(みなと・かなえ)さんは、1973年、広島県生まれ。 2007年「聖職者」で第29回小説推理新人賞を受賞。 2008年、受賞作を含む連作長編『告白』でデビュー。 同作で2009年、第6回本屋大賞を受賞。 2012年「望郷、海の星」で第65回日本推理作家協会賞短編部門、2016年『ユートピア』で第29回山本周五郎賞を受賞。 2018年『贖罪』がエドガー賞にノミネートされた。 ほかの著書に『高校入試』『山女日記』『物語のおわり』『絶唱』『リバース』『未来』『ブロードキャスト』『落日』『カケラ』など。

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キャスト・スタッフ|連続ドラマW 湊かなえ ポイズンドーター・ホーリーマザー|ドラマ|WOWOW

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女優の藤吉弓香は、故郷で開催される同窓会の誘いを断った。 母親に会いたくないのだ。 中学生の頃から、自分を思うようにコントロールしようとする母親が原因の頭痛に悩まされてきた。 同じ苦しみを抱えた親友からの説得もあって悩んだのだが…。 そんな折、「毒親」をテーマにしたトーク番組への出演依頼が届く 「ポイズンドーター」。 全6話で、寺島しのぶさん、足立梨花さん、清原果耶さん、中村ゆりさん、倉科カナさん、伊藤歩さんなどが出演します。 詳細は以下をご参照ください。 湊さんの毒が炸裂する 表題二編を含む六つの短編から構成された本書。 ある一方から決めつけられた人の印象が、最後の数ページでひっくり返るという爽快感と後味の悪さが癖になります。 ただし、表題二編は最近よく耳にする『毒親』などがテーマになっているのですが、読んだ人の感想を見ていると、自分の親が毒親だという人からはおおよそ否定的な意見が多かったので、少なからずそういった気持ちを抱えている方は読む際にご注意ください。 あくまでフィクションだから、という気持ちで読むことをお勧めします。 以下は本書に関する湊さんへのインタビューです。 この記事では、本書の魅力をあらすじや個人的な感想を交えながら書いていきたいと思います。 ネタバレになりますので、未読の方はご注意ください。 Contents• マイディアレスト この物語の主人公は、淑子。 彼女には六歳年下の妹の有紗がいましたが、事件に巻き込まれて殺害されてしまいます。 物語は県警の刑事に対して淑子が供述するという形で、事件の前後のことが明らかにされていきます。 淑子は自分には厳しいくせに、有紗には寛容な母親の教育方針にずっと不満がありました。 しかし、有紗は結婚を機に家を出たことで比較することもなく、平穏な時間を過ごすことができました。 ところが事件の二週間前、出産を控えた有紗が実家に戻ってくるなり、家族は有紗中心の生活に戻り、淑子はやり場のない苛立ちをため込んでいきます。 そんな淑子にとって、唯一の心の拠り所はスカーレットという猫でした。 スカーレットはスーパーで里親を募集していて、淑子は一目で何かを感じ、引き取ります。 精神的な問題もあって仕事が長続きせず、数年前から無職の淑子にとって、スカーレットだけが味方でした。 淑子は事件のあった時間はスカーレットの蚤取りをしていたと供述していますが、 それが彼女の思い込みだったことが後に判明します。 淑子はスカーレットについた蚤を取り、潰した時のプチという感触が好きでした。 また、淑子に全てを委ねるように身を任せるスカーレットが愛しくて仕方ありませんでした。 彼女にとって、スカーレットは娘、いや、分身とも呼べる存在でした。 有紗とは特段仲が悪いわけではありませんでしたが、彼女はしきりにいまだに男性経験のない淑子をあざ笑い、その度にそれは自分のせいではなく、親のくだらない言いつけのせいだと淑子は強い怒りを覚えます。 そんなある日、歩くよう医師に指導された有紗は、夜道に一人だと危ないという理由で淑子と一緒に散歩します。 すると、外にスカーレットがいて淑子は驚きますが、外に出たがっていたからと有紗が出したのです。 そして、建築途中の家の陰で、スカーレットは雄の野良猫と交尾していました。 淑子は止めようとしますが、スカーレットに嫌がるそぶりはなく、先越されちゃったねと有紗は笑います。 その時、淑子には有紗が、腹をパンパンに膨らませた蚤に見えました。 害虫は取り除かないと。 淑子は近くの角材を手に取ると、蚤の腹を何度も殴り、最後に頭を潰したのでした。 そして、何度あの夜のことを聞かれようが、答えは変わりません。 蚤取りをしていました、と。 スポンサーリンク ベストフレンド 漣涼香(さざなみすずか)は大学四年の時に初めて脚本コンクールに応募し、九年目にしてようやく最終選考に残ることができました。 その後、テレビドラマの制作部プロデューサー・郷賢(ごうけん)から連絡が入り、優秀賞に選ばれたことを知ります。 授賞式の日、そこには涼香の他に二人の受賞者がいました。 最優秀賞の大豆生田薫子(まみゅうだかおるこ)と、涼香と同じ優秀賞の直下未来(そそりみらい)。 そこで涼香はとんでもないことを聞きます。 審査は脚本家三人によって行われ、そのうちの一人、野上浩二は彼女にとって神様のような人でした。 しかし、他の二人は涼香の作品を推したにもかかわらず、野上は薫子の作品を推し、しかも癌宣告を受けたと病気を盾にし、反論を許しませんでした。 こうして薫子の作品が選ばれたことを知り、涼香は薫子に対して敵意を持ちますが、郷が自分にだけ次の仕事の話をしてくれたこともあり、前を向きます。 三人は連絡先を交換し、何かあれば連絡することを約束して別れます。 その後、涼香は何本もプロットを書いて力を蓄える一方、薫子の作品が映像化されて見ますが、その出来はひどいもので、涼香は薫子にお互いに頑張ろうと励ますような内容に見せかけた、馬鹿にするようなメールを度々送ります。 最初のうちは薫子からも返信がありましたが、その内になくなってしまいます。 涼香はなんとか自分の書いたプロットが採用されますが、脚本は野上が手掛けることになり、評判が上がらなかったため、途中で打ち切りのような形になってしまいます。 一方、薫子は脚本家として着実に成功をおさめ、自分もこうしてはいられないと涼子も負けないように頑張ります。 しかし、活躍する薫子と自分の違いに耐えられなくなり、いつしか薫子の存在を疎ましく思うようになっていました。 そして、涼香は凱旋帰国する薫子を待ち構えようと、大きなバラの花束を持って彼女を待ちます。 すると薫子は現れ、目が合うなり片手を上げます。 近づく二人ですが、涼香は背後から荒い息遣いを感じ、振り向くとナイフを握った直下がいました。 考えるよりも先に体が動き、涼香は薫子をかばって直下に刺され、そのまま亡くなってしまうのでした。 その後、薫子の供述で事の真相が明らかになります。 彼女は涼香や直下からのアドバイスを喜んで受ける一方で、とあるブログに自分の悪口が書かれているのを見つけます。 薫子は内容からそのブログの主が涼香だと思い、殺害予告が掲載されると、帰国時を狙われるのではと警戒していました。 そして本当に涼香が現れたので、私服警官に手を上げて合図しますが、それは勘違いでした。 ブログの主は直下で、涼香は本当にお祝いのつもりで駆け付けただけだったのです。 最後に涼香の本物のブログの書き込みが紹介され、そこには薫子への悔しさが自分を脚本の世界にとどめていてくれる、彼女は親友なのだと書かれていました。 罪深き女 この物語の主人公は、天野幸奈。 彼女は先日、刃物を電器店で刃物を振り回して死傷者十五名を出した黒田正幸容疑者の知り合いだとして、警察に彼のことを話します。 正幸が黙秘を貫く中、幸奈は今回の事件は自分のせいなのだといい、彼との出会いから話します。 幸奈が小学六年生の時、同じアパートに小学一年生の正幸が母親と共に引っ越してきましたが、しばらくは特に二人で話すこともありませんでした。 ところが幸奈が中学生になると、ある日、辺りが暗くなっているにもかかわらずアパートの階段に正幸が座っていて、母親の帰りを待っていました。 幸奈の家で待つことを提案するも断られたため、この日はそれ以上何も言いませんでしたが、母親から正幸の母親が男を部屋に連れ込み、いかがわしいことをしていることを教えられます。 さらに母親は女手一つで幸奈を育ててきたためか、彼女にそういったことをしないよう強く言ってきかせます。 しかし、母親は黒田家のこともあってノイローゼ気味で、幸奈がお祭りでクラスの男子といただけで彼女を叱りました。 一方、その後も正幸がお腹を空かした様子でアパートの階段で待つところを見かけ、母親にバレないようにこっそりと食べ物を与え、いつしかそれが自分の役目かのように思うようになります。 すると今度は宿題を教える時間も増え、二人だけの秘密の時間を過ごします。 ところが、正幸の母親の再婚が決まり、アパートを出ていくことが決まります。 あの母親と一緒では、正幸が不幸になるのでは? でも、あの母親がいなくなれば、自分の母親は元に戻るのでは? 二つの気持ちの間で揺れていると、正幸の母親が通り魔に襲われ、顔に大ケガを負ったというニュースが飛び込んできます。 犯人は捕まりませんでしたが、再婚相手には他にも女がいて、怨恨があったというのが住人の意見でした。 この事件のせいで母親は引っ越しをやめ、幸奈はホッとしますが、一方で母親は酒に溺れるようになり、正幸のことが気がかりでした。 ところが、幸奈は同じ部活の白井光喜から告白され、母親に内緒で付き合うことになります。 しかし、数回デートをするうちに光喜のことが母親にバレてしまい、幸奈は正幸が密告したのではと思うようになります。 他の男と一緒にいる自分を見て、彼は裏切られた気持ちになったのだと。 幸奈は自分を縛る母親に我慢できなくなり家を飛び出すと、階段に正幸がいました。 幸奈は彼に助けを求めますが、所詮は母親のもとに戻るしかないのだと諦め、部屋に戻ります。 ところがその日、アパートは放火され、幸奈の母親と正幸の母親は亡くなってしまいます。 幸奈は自分のために正幸がやったのだと思い、離れて暮らしても彼のことを忘れませんでした。 そして事件の一週間前、事件のあった電器店で二人は再会します。 幸奈は再会を喜び一方的に話すと、連絡先を書いたメモを彼に渡し、その場を後にしますが、その一週間後にあの事件は起きてしまいます。 今になって、正幸は自分のことを姉のように慕っていて、裏切られたという絶望感からこんな凶行に走ったのではと幸奈は後悔していました。 ところが、この話を黙秘する正幸に聞かせるなり、彼はこの件についてだけは反論します。 母親に虐待などされておらず、逆に幸奈の母親から執拗に嫌がらせの電話を受けていた。 また母親が変わってしまったのは顔にケガを負った上、児童虐待を告発する文書によって婚約相手がノイローゼ気味になって婚約破棄されたからで、その犯人を彼女は幸奈の母親だと思っていた。 幸奈の交際を密告したのは自分ではないし、放火したのは確かに自分だが、それは母親からの暴力に耐えられなくなっただけで、幸奈は関係ない。 電器店で幸奈に会ったことは覚えているものの、彼女とは分からず、頭のおかしい女が話しかけてきてイラっとした。 彼の犯行の動機は、運の悪い人生に嫌気がさしたというもので、調書の最後には、 天野母娘と出会ったことが運の悪さの一つかもしれないと締めくくられていました。 スポンサーリンク 優しい人 会社の同僚で来ていたバーベキューで奥山友彦が殺害され、犯人は交際相手の樋口明日実であるとされています。 この物語では友彦、明日実を知る人物の証言と明日実の心情から事件が浮かび上がってきます。 母親、小学校時代の担任、小中高の友人、明日実の同僚から証言が寄せられ、どれも似たような内容でした。 友彦は自己主張が苦手でしたが頭が良く、優しい。 一方、明日実は上辺だけ優しくているから、友彦が勘違いしてしまった。 その態度にこそ問題があると。 そういった意見の間に、明日実の小さい頃から今にかけてのエピソードが語られます。 明日実は幼い頃から母親に厳しくしつけられ、人に優しくすることが当たり前なのだと教えこまれて育ちました。 そして、社内の先輩である友彦が陰でキモイと言われていることに気が付き、同情して優しくしていました。 しかし、過去の経験からしっかりと距離をとり、誤解されないように気を付けました。 ところが、友彦は見事に勘違いし、明日実の周りのことを調べたり盗聴するなどストーカー行為を始めます。 明日実はそれを上司や警察に相談しますが、相手にしてもらえません。 このままではまずいと思っていると、友彦は一緒にバーベキューに行ってくれたら諦めてくれるといい、明日実も最後と思って了承します。 ところが、友彦は明日実の彼氏を人質にして脅迫し、結婚しようと明日実の手に自分の手を重ねてきます。 全身が粟立つのを感じた明日実は、テーブルに置かれた包丁を手に取ると、友彦を切りつけたのです。 最後に『優しい人』から証言があり、あなたは優しい人じゃない、でもそれは悪いことではないと締めくくられています。 おそらく優しい人=明日実で、あなた=友彦のことだと思われます。 ポイズンドーター タイトルは毒親に対する『毒娘』という意味。 この物語の主人公は、藤吉弓香。 彼女は母親に女手一つで育てられましたが、全て母親の敷いたレールに沿って歩む人生が苦痛で、いつしか母親の言動にストレスを感じる度に頭が割れるように痛くなるようになっていました。 そんな彼女にも心を許せる相手がいて、中学校の時の同級生、前川理穂、今は結婚して野上姓となりました。 彼女の母親もまた優しくも娘離れができない親で、理穂は苦しんでいる。 種類こそ違うけれど、彼女なら自分の気持ちを理解してくれると思っていました。 しかし、そんな彼女も結婚すると子どもの写真がプリントされた年賀状を毎年送ってきて、結婚程度で解放される苦痛だったのかといつからか見下していました。 弓香はずっと母親の言いなりになっていましたが、市役所で働いている時に女優としてスカウトされ、母親の猛反対を押し切って上京。 少しずつ活躍の幅を広げていましたが、今もなお母親の呪縛は解かれておらず、弓香がキスシーンなど引き受けようものなら悲痛に叫び、彼女を否定しました。 そんな弓香に社会的なテーマを取り上げて討論する番組のオファーが届き、テーマは『毒親』でした。 子どもを支配する親、特に娘を支配する母親に多いと言われ、自分の経験を話すことで、毒親に苦しんでいるのに声を上げられずにいる子どもたちの励みになるのではと思い、オファーを引き受けます。 そんな時、理穂からイノチュー会という同窓会に属する同級生に連絡が入り、中学の同級生・江川マリアが半年前に亡くなっていたことを教えられます。 弓香はかつて、マリアの少しだけですが、交流がありました。 マリアは不潔という理由から皆から避けられていて、母親は水商売をして彼女のことを養っていました。 当然、弓香の母親はマリアとの交流を許すはずもなく、その後のことを弓香は知りません。 弓香は個人的に供花を送りたいと申し出ますが、理穂からは送らないほうが良いと言われ、マリアが自殺した理由は自分にあるのか、などと考えます。 その後、理穂からさらに驚くべき連絡がきます。 なんと弓香の母親が亡くなったのです。 世間では弓香が出演した番組の毒親エピソード、それにまつわる本の出版からくるショックによる自殺だと噂されていましたが、死因は交通事故でした。 スポンサーリンク ホーリーマザー 『ポイズンドーター』の後の物語。 視点は主に理穂です。 理穂の義母は託児サービスを立ち上げ、そこで幼い弓香を預かる時にその母親・佳香と知り合いました。 義母は佳香のことを子ども思いの優しい母親だとして、娘の弓香がテレビで彼女のことを毒親だと公表したことが許せませんでした。 またそういった親を毒親というのなら、そうでない親、聖母から育てられた子どもは立派に育ったのかと子育ての在り方を強く非難します。 親が子どものことを思うのは当たり前で、行き過ぎた束縛もあるかもしれない。 それなら親子で話し合えばいいのに、弓香は一度でもそのことを佳香に打ち明けたことはあるのか? その矛先は弓香だけでなく、義娘の理穂にも向けられていました。 弓香が女優になった頃は、理穂が彼女の友人なんだと周囲に自慢していましたが、毒親の件以来、弓香と連絡をとる理穂を快く思っていませんでした。 そこで理穂はもう連絡はとっていないと宣言し、事実、電話番号もメールアドレスも変わったのか連絡が取れなくなっていました。 ところが一週間前、突然弓香から連絡が入り、ヒステリックな調子で会えないかと言われ、渋々会うことにします。 義母のことを疎ましく思いつつも、抗議文の内容には理穂もある程度共感を示します。 彼女の知る佳香もまた優しい人でした。 また毒親の放送以降、藤吉家のことをネタにしようと週間記者が理穂の元を訪れますが、彼女はその週間記者に義母の抗議文に訂正を加えたものを渡し、弓香を間接的に貶めます。 理穂が弓香と再会すると、彼女は週刊誌に自分を売った犯人は誰かと追及してきます。 彼女は理穂がやったと気が付いていないのです。 理穂は佳香は毒親ではないと反論し、本当の毒親を知っているといいます。 それは自分の母親のことではありません。 確かに母親の犠牲になった面もあるが、話せば分かってくれたし、今ならその気持ちも理解できる。 そして、理穂のいう本当の毒親とは、亡くなったマリアの母親でした。 実はマリアは売春を強要され、誰の子かも分からない赤ちゃんを妊娠して、堕胎し、中学にもろくに通うことができなかったのです。 そして、二人はマリアのお墓に行きます。 そこで理穂はマリアに婚約者がいたこと、自分たちが高校二年の年から父親の会社の事務員として働いていたことを教えてくれます。 理穂とマリアは弓香のことを一度しか話していませんが、それでもマリアは弓香の悪口など言っておらず、自分の母親さえも許してほしいと婚約者に向けた遺書に書いていたのです。 マリアが自殺した理由、それは彼女が婚約したことを聞きつけると母親が戻ってきて、婚約者にお金を無心したのです。 そして、マリアの過去をバラし、婚約者はその事実を受け止めることができませんでした。 そして、理穂は言います。 マリアの例は極論だが、そういった人しか声を上げてはいけない。 マリアが沖で激しい波に飲み込まれているとすると、弓香は浅瀬で足が付くにもかかわらず気が付かずに溺れているだけ。 そして、大したことのない人が叫ぶとそっちに注意がそれ、本当に助けが必要な人が助からない。 それに対し、弓香は自分の女優業を応援しているふりして、馬鹿にしていたのかと言い、理穂の言いたいことは通じませんでした。 しかし、理穂が供花を送らないほうがいいと言ったのは、弓香が芸能人だとバレるとマリアの母親に狙われるからという一応の親切心がありました。 最後に、弓香と会ったこの時間は無駄だったが、弓香のような毒娘にならないよう自分の娘・志乃を育てようと思うと言い、理穂は立ち去りました。 そして帰りの車の車内で、理穂は考えます。 弓香に伝えたかったのはマリアの母親のことではなく、笑いながら話せること。 まだ母親へのわだかまりが残っているかもしれないけれど、姑に比べたらはるかにマシであり、そうやって誰もが娘から母親になっていくのだと。 彼女はかつて自分の母親が自分にしたことを自分もしようと決めていました。 たとえ志乃に嫌がられ、それが毒親だとしてもかまわない。 いつか解ってくれる日がくるはずだと。 そして義母と弓香の悪口をぶつけ合いたいと思い、バカじゃないの、母とか娘とかとつぶやくのでした。 『毒』とは 本書とは関係ない自分なりの考えですが、何をしたら毒親、毒娘なのか、何をしなければ聖母なのか、これは一概にはいえない難しい問題だと思います。 結局は受け取る側の問題なので、いくら一般的な親として正しいことをしたとしても、子どもが苦痛に感じれば、それは正しくないのでしょう。 もちろん子どものためにあえて辛いことをしなければならないこともありますが、理解してもらうことを怠ってはいけないと思います。 義母の言葉にあった、親子で話し合う、これが一番だと思います。 ぜひ会話をして、理解を深めてください。 ただそれでも理解できないことはありますので、そういう時は距離を置き、時間が解決してくれるのを待つという手もありますので、答えだけを性急に求めないことをお勧めします。 最後に 特に最後の話については賛否両論あると思います。 僕としては、これを読んで今もなお親に苦しんでいるという人がいれば、ぜひ声を上げていただきたいと思います。 怖くて声が上げられなければ、近くにいる人にそっと打ち明け、代わりに声を上げてもらってください。 理穂の言いたいことも分かりますが、一人の声で誰かの声が消えてしまうなんて芸能人などの影響力を持った人しかいません。 その影響力もたかが知れています。 分からず屋はたくさんいますが、あなたに理解を示してくれる人もまたたくさんいます。 ぜひその声が正しく届くよう、今の気持ちを吐き出してください。 もしくは、じっと耐えしのいで逃げる準備をし方が楽であれば、無理に声を出す必要はないと思います。 正解などないので、ぜひ自分の気持ちを第一に考えた方法で幸せに向かってください。

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『ポイズンドーター・ホーリーマザー (光文社文庫)』(湊かなえ)の感想(195レビュー)

ポイズン ドーター ホーリー マザー ネタバレ

女優の藤吉弓香は、故郷で開催される同窓会の誘いを断った。 母親に会いたくないのだ。 中学生の頃から、自分を思うようにコントロールしようとする母親が原因の頭痛に悩まされてきた。 同じ苦しみを抱えた親友からの説得もあって悩んだのだが…。 そんな折、「毒親」をテーマにしたトーク番組への出演依頼が届く 「ポイズンドーター」。 全6話で、寺島しのぶさん、足立梨花さん、清原果耶さん、中村ゆりさん、倉科カナさん、伊藤歩さんなどが出演します。 詳細は以下をご参照ください。 湊さんの毒が炸裂する 表題二編を含む六つの短編から構成された本書。 ある一方から決めつけられた人の印象が、最後の数ページでひっくり返るという爽快感と後味の悪さが癖になります。 ただし、表題二編は最近よく耳にする『毒親』などがテーマになっているのですが、読んだ人の感想を見ていると、自分の親が毒親だという人からはおおよそ否定的な意見が多かったので、少なからずそういった気持ちを抱えている方は読む際にご注意ください。 あくまでフィクションだから、という気持ちで読むことをお勧めします。 以下は本書に関する湊さんへのインタビューです。 この記事では、本書の魅力をあらすじや個人的な感想を交えながら書いていきたいと思います。 ネタバレになりますので、未読の方はご注意ください。 Contents• マイディアレスト この物語の主人公は、淑子。 彼女には六歳年下の妹の有紗がいましたが、事件に巻き込まれて殺害されてしまいます。 物語は県警の刑事に対して淑子が供述するという形で、事件の前後のことが明らかにされていきます。 淑子は自分には厳しいくせに、有紗には寛容な母親の教育方針にずっと不満がありました。 しかし、有紗は結婚を機に家を出たことで比較することもなく、平穏な時間を過ごすことができました。 ところが事件の二週間前、出産を控えた有紗が実家に戻ってくるなり、家族は有紗中心の生活に戻り、淑子はやり場のない苛立ちをため込んでいきます。 そんな淑子にとって、唯一の心の拠り所はスカーレットという猫でした。 スカーレットはスーパーで里親を募集していて、淑子は一目で何かを感じ、引き取ります。 精神的な問題もあって仕事が長続きせず、数年前から無職の淑子にとって、スカーレットだけが味方でした。 淑子は事件のあった時間はスカーレットの蚤取りをしていたと供述していますが、 それが彼女の思い込みだったことが後に判明します。 淑子はスカーレットについた蚤を取り、潰した時のプチという感触が好きでした。 また、淑子に全てを委ねるように身を任せるスカーレットが愛しくて仕方ありませんでした。 彼女にとって、スカーレットは娘、いや、分身とも呼べる存在でした。 有紗とは特段仲が悪いわけではありませんでしたが、彼女はしきりにいまだに男性経験のない淑子をあざ笑い、その度にそれは自分のせいではなく、親のくだらない言いつけのせいだと淑子は強い怒りを覚えます。 そんなある日、歩くよう医師に指導された有紗は、夜道に一人だと危ないという理由で淑子と一緒に散歩します。 すると、外にスカーレットがいて淑子は驚きますが、外に出たがっていたからと有紗が出したのです。 そして、建築途中の家の陰で、スカーレットは雄の野良猫と交尾していました。 淑子は止めようとしますが、スカーレットに嫌がるそぶりはなく、先越されちゃったねと有紗は笑います。 その時、淑子には有紗が、腹をパンパンに膨らませた蚤に見えました。 害虫は取り除かないと。 淑子は近くの角材を手に取ると、蚤の腹を何度も殴り、最後に頭を潰したのでした。 そして、何度あの夜のことを聞かれようが、答えは変わりません。 蚤取りをしていました、と。 スポンサーリンク ベストフレンド 漣涼香(さざなみすずか)は大学四年の時に初めて脚本コンクールに応募し、九年目にしてようやく最終選考に残ることができました。 その後、テレビドラマの制作部プロデューサー・郷賢(ごうけん)から連絡が入り、優秀賞に選ばれたことを知ります。 授賞式の日、そこには涼香の他に二人の受賞者がいました。 最優秀賞の大豆生田薫子(まみゅうだかおるこ)と、涼香と同じ優秀賞の直下未来(そそりみらい)。 そこで涼香はとんでもないことを聞きます。 審査は脚本家三人によって行われ、そのうちの一人、野上浩二は彼女にとって神様のような人でした。 しかし、他の二人は涼香の作品を推したにもかかわらず、野上は薫子の作品を推し、しかも癌宣告を受けたと病気を盾にし、反論を許しませんでした。 こうして薫子の作品が選ばれたことを知り、涼香は薫子に対して敵意を持ちますが、郷が自分にだけ次の仕事の話をしてくれたこともあり、前を向きます。 三人は連絡先を交換し、何かあれば連絡することを約束して別れます。 その後、涼香は何本もプロットを書いて力を蓄える一方、薫子の作品が映像化されて見ますが、その出来はひどいもので、涼香は薫子にお互いに頑張ろうと励ますような内容に見せかけた、馬鹿にするようなメールを度々送ります。 最初のうちは薫子からも返信がありましたが、その内になくなってしまいます。 涼香はなんとか自分の書いたプロットが採用されますが、脚本は野上が手掛けることになり、評判が上がらなかったため、途中で打ち切りのような形になってしまいます。 一方、薫子は脚本家として着実に成功をおさめ、自分もこうしてはいられないと涼子も負けないように頑張ります。 しかし、活躍する薫子と自分の違いに耐えられなくなり、いつしか薫子の存在を疎ましく思うようになっていました。 そして、涼香は凱旋帰国する薫子を待ち構えようと、大きなバラの花束を持って彼女を待ちます。 すると薫子は現れ、目が合うなり片手を上げます。 近づく二人ですが、涼香は背後から荒い息遣いを感じ、振り向くとナイフを握った直下がいました。 考えるよりも先に体が動き、涼香は薫子をかばって直下に刺され、そのまま亡くなってしまうのでした。 その後、薫子の供述で事の真相が明らかになります。 彼女は涼香や直下からのアドバイスを喜んで受ける一方で、とあるブログに自分の悪口が書かれているのを見つけます。 薫子は内容からそのブログの主が涼香だと思い、殺害予告が掲載されると、帰国時を狙われるのではと警戒していました。 そして本当に涼香が現れたので、私服警官に手を上げて合図しますが、それは勘違いでした。 ブログの主は直下で、涼香は本当にお祝いのつもりで駆け付けただけだったのです。 最後に涼香の本物のブログの書き込みが紹介され、そこには薫子への悔しさが自分を脚本の世界にとどめていてくれる、彼女は親友なのだと書かれていました。 罪深き女 この物語の主人公は、天野幸奈。 彼女は先日、刃物を電器店で刃物を振り回して死傷者十五名を出した黒田正幸容疑者の知り合いだとして、警察に彼のことを話します。 正幸が黙秘を貫く中、幸奈は今回の事件は自分のせいなのだといい、彼との出会いから話します。 幸奈が小学六年生の時、同じアパートに小学一年生の正幸が母親と共に引っ越してきましたが、しばらくは特に二人で話すこともありませんでした。 ところが幸奈が中学生になると、ある日、辺りが暗くなっているにもかかわらずアパートの階段に正幸が座っていて、母親の帰りを待っていました。 幸奈の家で待つことを提案するも断られたため、この日はそれ以上何も言いませんでしたが、母親から正幸の母親が男を部屋に連れ込み、いかがわしいことをしていることを教えられます。 さらに母親は女手一つで幸奈を育ててきたためか、彼女にそういったことをしないよう強く言ってきかせます。 しかし、母親は黒田家のこともあってノイローゼ気味で、幸奈がお祭りでクラスの男子といただけで彼女を叱りました。 一方、その後も正幸がお腹を空かした様子でアパートの階段で待つところを見かけ、母親にバレないようにこっそりと食べ物を与え、いつしかそれが自分の役目かのように思うようになります。 すると今度は宿題を教える時間も増え、二人だけの秘密の時間を過ごします。 ところが、正幸の母親の再婚が決まり、アパートを出ていくことが決まります。 あの母親と一緒では、正幸が不幸になるのでは? でも、あの母親がいなくなれば、自分の母親は元に戻るのでは? 二つの気持ちの間で揺れていると、正幸の母親が通り魔に襲われ、顔に大ケガを負ったというニュースが飛び込んできます。 犯人は捕まりませんでしたが、再婚相手には他にも女がいて、怨恨があったというのが住人の意見でした。 この事件のせいで母親は引っ越しをやめ、幸奈はホッとしますが、一方で母親は酒に溺れるようになり、正幸のことが気がかりでした。 ところが、幸奈は同じ部活の白井光喜から告白され、母親に内緒で付き合うことになります。 しかし、数回デートをするうちに光喜のことが母親にバレてしまい、幸奈は正幸が密告したのではと思うようになります。 他の男と一緒にいる自分を見て、彼は裏切られた気持ちになったのだと。 幸奈は自分を縛る母親に我慢できなくなり家を飛び出すと、階段に正幸がいました。 幸奈は彼に助けを求めますが、所詮は母親のもとに戻るしかないのだと諦め、部屋に戻ります。 ところがその日、アパートは放火され、幸奈の母親と正幸の母親は亡くなってしまいます。 幸奈は自分のために正幸がやったのだと思い、離れて暮らしても彼のことを忘れませんでした。 そして事件の一週間前、事件のあった電器店で二人は再会します。 幸奈は再会を喜び一方的に話すと、連絡先を書いたメモを彼に渡し、その場を後にしますが、その一週間後にあの事件は起きてしまいます。 今になって、正幸は自分のことを姉のように慕っていて、裏切られたという絶望感からこんな凶行に走ったのではと幸奈は後悔していました。 ところが、この話を黙秘する正幸に聞かせるなり、彼はこの件についてだけは反論します。 母親に虐待などされておらず、逆に幸奈の母親から執拗に嫌がらせの電話を受けていた。 また母親が変わってしまったのは顔にケガを負った上、児童虐待を告発する文書によって婚約相手がノイローゼ気味になって婚約破棄されたからで、その犯人を彼女は幸奈の母親だと思っていた。 幸奈の交際を密告したのは自分ではないし、放火したのは確かに自分だが、それは母親からの暴力に耐えられなくなっただけで、幸奈は関係ない。 電器店で幸奈に会ったことは覚えているものの、彼女とは分からず、頭のおかしい女が話しかけてきてイラっとした。 彼の犯行の動機は、運の悪い人生に嫌気がさしたというもので、調書の最後には、 天野母娘と出会ったことが運の悪さの一つかもしれないと締めくくられていました。 スポンサーリンク 優しい人 会社の同僚で来ていたバーベキューで奥山友彦が殺害され、犯人は交際相手の樋口明日実であるとされています。 この物語では友彦、明日実を知る人物の証言と明日実の心情から事件が浮かび上がってきます。 母親、小学校時代の担任、小中高の友人、明日実の同僚から証言が寄せられ、どれも似たような内容でした。 友彦は自己主張が苦手でしたが頭が良く、優しい。 一方、明日実は上辺だけ優しくているから、友彦が勘違いしてしまった。 その態度にこそ問題があると。 そういった意見の間に、明日実の小さい頃から今にかけてのエピソードが語られます。 明日実は幼い頃から母親に厳しくしつけられ、人に優しくすることが当たり前なのだと教えこまれて育ちました。 そして、社内の先輩である友彦が陰でキモイと言われていることに気が付き、同情して優しくしていました。 しかし、過去の経験からしっかりと距離をとり、誤解されないように気を付けました。 ところが、友彦は見事に勘違いし、明日実の周りのことを調べたり盗聴するなどストーカー行為を始めます。 明日実はそれを上司や警察に相談しますが、相手にしてもらえません。 このままではまずいと思っていると、友彦は一緒にバーベキューに行ってくれたら諦めてくれるといい、明日実も最後と思って了承します。 ところが、友彦は明日実の彼氏を人質にして脅迫し、結婚しようと明日実の手に自分の手を重ねてきます。 全身が粟立つのを感じた明日実は、テーブルに置かれた包丁を手に取ると、友彦を切りつけたのです。 最後に『優しい人』から証言があり、あなたは優しい人じゃない、でもそれは悪いことではないと締めくくられています。 おそらく優しい人=明日実で、あなた=友彦のことだと思われます。 ポイズンドーター タイトルは毒親に対する『毒娘』という意味。 この物語の主人公は、藤吉弓香。 彼女は母親に女手一つで育てられましたが、全て母親の敷いたレールに沿って歩む人生が苦痛で、いつしか母親の言動にストレスを感じる度に頭が割れるように痛くなるようになっていました。 そんな彼女にも心を許せる相手がいて、中学校の時の同級生、前川理穂、今は結婚して野上姓となりました。 彼女の母親もまた優しくも娘離れができない親で、理穂は苦しんでいる。 種類こそ違うけれど、彼女なら自分の気持ちを理解してくれると思っていました。 しかし、そんな彼女も結婚すると子どもの写真がプリントされた年賀状を毎年送ってきて、結婚程度で解放される苦痛だったのかといつからか見下していました。 弓香はずっと母親の言いなりになっていましたが、市役所で働いている時に女優としてスカウトされ、母親の猛反対を押し切って上京。 少しずつ活躍の幅を広げていましたが、今もなお母親の呪縛は解かれておらず、弓香がキスシーンなど引き受けようものなら悲痛に叫び、彼女を否定しました。 そんな弓香に社会的なテーマを取り上げて討論する番組のオファーが届き、テーマは『毒親』でした。 子どもを支配する親、特に娘を支配する母親に多いと言われ、自分の経験を話すことで、毒親に苦しんでいるのに声を上げられずにいる子どもたちの励みになるのではと思い、オファーを引き受けます。 そんな時、理穂からイノチュー会という同窓会に属する同級生に連絡が入り、中学の同級生・江川マリアが半年前に亡くなっていたことを教えられます。 弓香はかつて、マリアの少しだけですが、交流がありました。 マリアは不潔という理由から皆から避けられていて、母親は水商売をして彼女のことを養っていました。 当然、弓香の母親はマリアとの交流を許すはずもなく、その後のことを弓香は知りません。 弓香は個人的に供花を送りたいと申し出ますが、理穂からは送らないほうが良いと言われ、マリアが自殺した理由は自分にあるのか、などと考えます。 その後、理穂からさらに驚くべき連絡がきます。 なんと弓香の母親が亡くなったのです。 世間では弓香が出演した番組の毒親エピソード、それにまつわる本の出版からくるショックによる自殺だと噂されていましたが、死因は交通事故でした。 スポンサーリンク ホーリーマザー 『ポイズンドーター』の後の物語。 視点は主に理穂です。 理穂の義母は託児サービスを立ち上げ、そこで幼い弓香を預かる時にその母親・佳香と知り合いました。 義母は佳香のことを子ども思いの優しい母親だとして、娘の弓香がテレビで彼女のことを毒親だと公表したことが許せませんでした。 またそういった親を毒親というのなら、そうでない親、聖母から育てられた子どもは立派に育ったのかと子育ての在り方を強く非難します。 親が子どものことを思うのは当たり前で、行き過ぎた束縛もあるかもしれない。 それなら親子で話し合えばいいのに、弓香は一度でもそのことを佳香に打ち明けたことはあるのか? その矛先は弓香だけでなく、義娘の理穂にも向けられていました。 弓香が女優になった頃は、理穂が彼女の友人なんだと周囲に自慢していましたが、毒親の件以来、弓香と連絡をとる理穂を快く思っていませんでした。 そこで理穂はもう連絡はとっていないと宣言し、事実、電話番号もメールアドレスも変わったのか連絡が取れなくなっていました。 ところが一週間前、突然弓香から連絡が入り、ヒステリックな調子で会えないかと言われ、渋々会うことにします。 義母のことを疎ましく思いつつも、抗議文の内容には理穂もある程度共感を示します。 彼女の知る佳香もまた優しい人でした。 また毒親の放送以降、藤吉家のことをネタにしようと週間記者が理穂の元を訪れますが、彼女はその週間記者に義母の抗議文に訂正を加えたものを渡し、弓香を間接的に貶めます。 理穂が弓香と再会すると、彼女は週刊誌に自分を売った犯人は誰かと追及してきます。 彼女は理穂がやったと気が付いていないのです。 理穂は佳香は毒親ではないと反論し、本当の毒親を知っているといいます。 それは自分の母親のことではありません。 確かに母親の犠牲になった面もあるが、話せば分かってくれたし、今ならその気持ちも理解できる。 そして、理穂のいう本当の毒親とは、亡くなったマリアの母親でした。 実はマリアは売春を強要され、誰の子かも分からない赤ちゃんを妊娠して、堕胎し、中学にもろくに通うことができなかったのです。 そして、二人はマリアのお墓に行きます。 そこで理穂はマリアに婚約者がいたこと、自分たちが高校二年の年から父親の会社の事務員として働いていたことを教えてくれます。 理穂とマリアは弓香のことを一度しか話していませんが、それでもマリアは弓香の悪口など言っておらず、自分の母親さえも許してほしいと婚約者に向けた遺書に書いていたのです。 マリアが自殺した理由、それは彼女が婚約したことを聞きつけると母親が戻ってきて、婚約者にお金を無心したのです。 そして、マリアの過去をバラし、婚約者はその事実を受け止めることができませんでした。 そして、理穂は言います。 マリアの例は極論だが、そういった人しか声を上げてはいけない。 マリアが沖で激しい波に飲み込まれているとすると、弓香は浅瀬で足が付くにもかかわらず気が付かずに溺れているだけ。 そして、大したことのない人が叫ぶとそっちに注意がそれ、本当に助けが必要な人が助からない。 それに対し、弓香は自分の女優業を応援しているふりして、馬鹿にしていたのかと言い、理穂の言いたいことは通じませんでした。 しかし、理穂が供花を送らないほうがいいと言ったのは、弓香が芸能人だとバレるとマリアの母親に狙われるからという一応の親切心がありました。 最後に、弓香と会ったこの時間は無駄だったが、弓香のような毒娘にならないよう自分の娘・志乃を育てようと思うと言い、理穂は立ち去りました。 そして帰りの車の車内で、理穂は考えます。 弓香に伝えたかったのはマリアの母親のことではなく、笑いながら話せること。 まだ母親へのわだかまりが残っているかもしれないけれど、姑に比べたらはるかにマシであり、そうやって誰もが娘から母親になっていくのだと。 彼女はかつて自分の母親が自分にしたことを自分もしようと決めていました。 たとえ志乃に嫌がられ、それが毒親だとしてもかまわない。 いつか解ってくれる日がくるはずだと。 そして義母と弓香の悪口をぶつけ合いたいと思い、バカじゃないの、母とか娘とかとつぶやくのでした。 『毒』とは 本書とは関係ない自分なりの考えですが、何をしたら毒親、毒娘なのか、何をしなければ聖母なのか、これは一概にはいえない難しい問題だと思います。 結局は受け取る側の問題なので、いくら一般的な親として正しいことをしたとしても、子どもが苦痛に感じれば、それは正しくないのでしょう。 もちろん子どものためにあえて辛いことをしなければならないこともありますが、理解してもらうことを怠ってはいけないと思います。 義母の言葉にあった、親子で話し合う、これが一番だと思います。 ぜひ会話をして、理解を深めてください。 ただそれでも理解できないことはありますので、そういう時は距離を置き、時間が解決してくれるのを待つという手もありますので、答えだけを性急に求めないことをお勧めします。 最後に 特に最後の話については賛否両論あると思います。 僕としては、これを読んで今もなお親に苦しんでいるという人がいれば、ぜひ声を上げていただきたいと思います。 怖くて声が上げられなければ、近くにいる人にそっと打ち明け、代わりに声を上げてもらってください。 理穂の言いたいことも分かりますが、一人の声で誰かの声が消えてしまうなんて芸能人などの影響力を持った人しかいません。 その影響力もたかが知れています。 分からず屋はたくさんいますが、あなたに理解を示してくれる人もまたたくさんいます。 ぜひその声が正しく届くよう、今の気持ちを吐き出してください。 もしくは、じっと耐えしのいで逃げる準備をし方が楽であれば、無理に声を出す必要はないと思います。 正解などないので、ぜひ自分の気持ちを第一に考えた方法で幸せに向かってください。

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